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殺す気ですか
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立ち尽くしている僕の頭をポンポンっと軽く叩いて上野君は降りていった。
俺を、好きになれ?
だって、上野君が好きなのは大原君じゃないか。
今のは、なんだろう。
告白?同情?気遣い?
どっちにしろ、多分僕のためだ。
「気、遣わせちゃったのかな…」
これじゃ逆だ。
僕が慰めてる立場だったのに、慰められてるなんて。
「な、情けない…」
本当、どれだけの人にどこまで…。
フルフルと、頭を振る。
こんなことじゃ、また二ノ宮君から怒られちゃう。
「しっかりしなきゃ!」
そう言った後、僕も階段を降りて生徒会室に戻った。
「今日はもう終わろっか」
未だ手伝いに来てくれてる双子に今日の仕事の終わりを告げた。
「おつかれはるちゃん。また明日ね」
「うん、お疲れ様透君」
「お疲れ」
「昴君もお疲れ様ー」
2人ともドアを開けて部屋を出て行く。
その時、透君の「わっ」て驚いたような声と、昴君の「なんでお前がここにいる」って珍しく怒ったような声が聞こえた。
昴君が怒るなんて珍しい、と思い僕も扉へ向かう。
扉の反対側。
背を預けるようにして立っていたのは、上野君。
「あ、う、上野君…?」
僕に気づいた上野君が、こちらを見る。
なぜ、彼がここに。
ー俺を好きになれよ
「っ!」
昼休みのことが頭に浮かぶ。
まさか、いやいやまさか。
とりあえず警戒している双子を帰らせ、上野君に向き直った。
「どうしたの?」
「迎えに来た」
「えっと、…なんで?」
「一緒に帰りたいから」
寮だけどな、と。
「ちょうど終わりだし、いい、けど」
でも、なんで?
「好きな奴と一緒に帰りたいって思うのは普通だろ?」
綺麗な顔がニヤリと歪んだ。
その言葉を理解した瞬間、ぶわっと顔が熱くなる。
な、何言って…
「うわ、まじか、真っ赤」
ははっと笑う上野君。
え、でも待って、ちょっと待って
「上野君が好きなのは、大原君じゃ…」
「言ったろ?俺は吹っ切れたよ。
てか、昼のでわかんなかったのか」
鈍感、と言われた。
「あれは、気遣ってくれたんじゃ…」
「気ぃ遣うだけでそこまで言うかよ」
俺は、と。
「お前が好きだっつってんの」
「え、あ、いや、あの…」
こういうことに対して、免疫がない。
そんな直球でこれらたら、は、恥ずかしい。
二ノ宮君の時は、勘違いしてたからよかったけど…。
いや良くなかったけど…。
「いや、でも僕は…」
「委員長サマが好きだっつーんだろ?」
そんな風に言わないでくれませんか…。
「いいよ今はそれでも。もとから委員長サマに見せつける気だし」
な、何をですか。
「蓮もまぁ、いいけど。
こんないい奴ほっといたってこと、後悔させてやるってな」
ニシシと笑った上野君はすごく悪そうでした。
きっと、今の僕は顔全部が真っ赤だ。
「耳まで赤くして、可愛いやつ」
な、なんだろうか。
この人は僕を羞恥で殺す気だろうか。
「や、本当に……無理だって…」
「お前はそのままでいいよ」
そのままのお前に、俺は惚れたんだ、と。
「ちょ、ちょっと待って!か、帰ろう!
うん今日は帰ろうもう!」
そのまま、上野君に背を向けて歩き出す。
「ははっ、おもしれーの」
後ろから、上機嫌な上野君の声が聞こえた。
本当、止めていただきたい。
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