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ご馳走様でした
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「正直俺、受けが傷ついて記憶喪失になって攻めがそれに後悔して助けていくっていうストーリーが一番萌えてたんですけど。
いざ自分がその状況になったらそれどころじゃないですね。
てゆうか、キレちゃったじゃないですか」
あれは失態でした、と額を抑える桜月君。
「ごめん、俺今お前がわからない…」
呆然と固まっているのは僕とベットに座っている二ノ宮君。
昨日その、えっと、自分の想いを伝えられて。
二ノ宮君の想いも聞けて。
二ノ宮君の隣にいていいと言われて。
あの後寝てしまった二ノ宮君に無理をさせたと反省したけれど、今朝起きた二ノ宮君に、「どうせ無理させたとかおもってんだろ」と、笑われてしまった。
先生と二ノ宮君に連絡したけれど、先生は出張らしい。
「まぁあいつなら大丈夫だろ」
だそうだ。
昼頃になって。
様子を見に来た桜月君が、語り出したのが、冒頭。
えっとうん、僕も今桜月君が別人に見えるんだけど…。
「まぁ思い返してみれば、庇った委員長には萌えましたよね。
なんでそこにいなかったのだろうと反省してます。
あでも、会長が泣きながら僕に電話してきたときは焦りましたが、なかなかに美味しかったです」
てことで、
「今回のことはご馳走様でした」
お前、と二ノ宮君が呟いた。
「俺のこと心配して来たんじゃねぇのかよ」
「心配って、まさか。委員長しぶといじゃないですか」
まさか、と桜月君は声を上げて笑う。
けれど、僕は知ってる。
倒れてる二ノ宮君を見たときの桜月君の顔と、大原君に怒ったときの顔。
凄いな。
すごく心配してたのに、それを見せるそぶりもない。
「怪我人だぞ」
でも多分、それを二ノ宮君はわかってる。、
笑いながら、そういった。
「いい機会ですからその空っぽの頭に身詰めといてくださいね」
「相変わらずだな、お前」
「委員長は前の方が反応が面白かったんですけどね」
桜月君は、もっと前の二ノ宮君を知っているのだろう。
「で、どうだったんですか?」
僕の方に向き直った桜月君はそう問うた。
「押してみました?」
そうだ。
今の僕があるのは桜月君のおかげなのだ。
報告しなくちゃ、だめだよね。
「えっと、言えました、一応」
「それから?」
「それ、から?」
「委員長は?」
何故二ノ宮君のことを、僕に聞くのだろうか。
はくはくと、顔を真っ赤にして口を開ける僕に、助け舟が出された。
「いじめんな直人。俺だってちゃんと伝えたよ」
「っ、???、うまっ」
「は?」
「何ですか甘々ですか、はいもうお腹いっぱいですよ」
ちょっと暴走しました。もう行きますね、と桜月君はいった。
「委員長の分仕事もあるので」
「悪いな」
あ、でも僕の仕事も…
「僕も、仕事…」
「それは大丈夫ですよ。風紀からもう1人助っ人入れてるので、会長は委員長のそばにいてあげてください」
すごく、ありがたい。
「ありがとう」
そう微笑んでお礼を言った。
「じゃ、委員長が怖いのでいきますね」
「え、あ、うん。また」
パタンと閉じられた扉を見届け、二ノ宮君を見る。
「?」
「悪い」
なんで謝ったのかはわからなかった。
桜月「これは俺もたないかも……」
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