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不意打ち
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二ノ宮君の風邪もすっかり良くなって。
体もだいぶ動けるようになった頃、僕は生徒会室に戻った。
さすがに、任せっぱなしはいけないと思うし…。
助っ人として来てくれていたもう一人の風紀委員は、仕事が一段落ついたためもう帰ってしまったらしい。
お礼、言いたかったんだけどな。
いや、うん今度ちゃんと双子達の分もお礼しよう。
ドアを開けると、透君が飛びついてきた。
「おかえりはるちゃん!傷は!?大丈夫!?」
「え、っと、あの…」
「透、はるちゃん困ってる」
透君の首の後ろのシャツを引っ張って昴君は僕から透君を離した。
「ごめんね、はるちゃん!」
「あ、僕の方こそ…」
多分、2人には、というか風紀には桜月君から話が入っていると思う。
「ご心配、かけました…」
頭を下げると、くしゃりと撫でられた。
その手は昴君のもので。
「無事でよかった」
この人たちには、本当にかなわない。
うん、と頷く前に、扉が乱暴に開かれた。
「鈴原!!!」
それは、あの日以来会っていない上野君。
「えっ、ちょっ、なになに!」
何も言わず、ただ凄い剣幕で僕の手を引いてつれていく。
着いたのは、屋上だった。
「なにっ、なに!?」
うわ、という前に、強く抱きしめられた。
「悪りぃ!!」
「え、え?」
な、なにが…。
「俺が、あの時行かせなかったら!!」
僕が傷つくことはなかったと、そう言いたいのだろうか。
「何言ってるの」
すごく後悔している顔を見ていられなくて、両手で包む。
「上野君は、まったく悪くないじゃんか」
そんな顔しないで、と笑う。
「お前は、優しすぎんだよ…」
無理やりにでも止めればよかった、と彼は言う。
「ありがとう。心配させてごめん」
ポンポンっと上野君の背中を叩くと、
「やっぱ、お前好きだわ」
と言われ、顔を上げると、ほっぺに暖かい感触。
「え、」
うそ、きす……。
固まってしまった僕に、悪戯っ子のような笑顔で上野君は笑った。
「いただき」
その言葉に反論する前に、肩をぐいっと引っ張られた。
「やってくれんじゃねぇか、上野」
「にのみやくん!?」
い、今の見られて…!
「おーおー、ナイトの登場ってか。
ちょーっと遅かったけどな」
じゃ、邪魔ものはたいさーんっと、出て行く上野君。
「あ。ありがとな鈴原」
最後に振り返ってそう言った。
「鈴原」
「に、二ノ宮君…まだ寝てなきゃ…」
で、できれば残さないで欲しかった…。
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