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隠された
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「俺は、お前が心配だよ」
僕に振り返って、二ノ宮君は言った。
「あーくそ、小さいな俺」
そして、頭をガシガシとかく。
ここ、と僕のほっぺを突っつく。
「っ、」
「キス、されたよな?」
やっぱり見れられてた…!
「いや、あれは…その、違くて…」
ど、どうする?
あれは不可効力であって、全く同意の上ではないというか…。
同意も何も抵抗すらする暇なかったんだけど。
「俺は、してないんだけど」
起きてる時には、という小さな呟きは聞こえなかったけれど。
「いや、だ、だってまだ…」
なんだか近づいているような気がして、一歩下がった。
何回それを繰り返したのか。
「っ!」
カシャン、と、背中にフェンスの網が当たった。
え、え、どうしよう…。
別に逃げる理由はないけれど、勝手に足が後ろへ進もうとする。
「なんで逃げる」
鈴原、と僕の顔の横に二ノ宮は手を置く。
こ、これは…壁ドン、みたいな…!?
いやいやいや、そんなこと僕にしちゃいけないよ。そういうのが似合うのは実とか、可愛い子が似合うというか。
「に、のみや君、おお、落ち着いて、」
「嫌になったか?」
「えっ、と?」
「こんな小ちゃい男だって、嫌になったか?」
「あ、…」
まさか、僕の行動が二ノ宮君を傷つけてしまったのではないか。
そんなことを、したいはずではないのに。
「嫌になんて、なりません…」
全く、嫌じゃない。
ただ少し驚いただけだ。
「そうか」
信じてくれたのかと、安堵するよりはやく頬に先ほど感じた感触。
「消毒」
悪戯っぽく笑った二ノ宮君に、鼓動が早くなる。
けど、と二ノ宮君は続ける。
「アイツと同じってのは、嫌だな」
と、言った。
「え、……っ!?」
頬に感じた熱が、唇に感じた。
「あ、え、……なん…」
最初は、驚いただけ。
ドクン
「あ、うそ、」
息が、詰まってくる感覚に焦る。
「鈴原?」
大丈夫か、と僕の方に手を伸ばす。
それを。
「っ!」
弾いてしまった。
思い出してしまった。
あの時を。
落ち着け、今目の前にいるのは二ノ宮君だ。
佐々木さんじゃない。
僕を犯した人じゃ、ない。
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