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俺を見ろ
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怖い。
唇が離れた瞬間出てきたのはそんな感情。
「あ、あ……」
カタカタと震える手を、握りしめる。
僕に迫ってくる手が、怖い。
また、あんなことをされるのではないかと。
体が勝手に判断する。
「鈴原…」
困惑した二ノ宮君の声が聞こえる。
「っ、」
息が、詰まる。
どうしよう、苦しい。ここまま…
「鈴原」
「っ!」
ぐいっと僕の顔を両手で包み、二ノ宮君は目を合わせた。
「落ち着け、鈴原。息をしろ」
じっと、目を見つめる。
綺麗、目。
「っは、はー、はー」
「大丈夫だ鈴原。」
「、ん…」
ゆっくりと、言われた通りに息をする。
「悪かった、いきなり」
「ちがっ!!」
違う。
二ノ宮君のせいじゃない。
逆に、このことで気づいてしまった。
僕はもう、汚れていると。
「僕、僕、汚い…もう汚いんだ…」
「何言ってる…」
「も、あの人と、あの人が…っ!」
思い出したたら、鮮明にその光景が頭に浮かぶ。
「怖、い。…痛い、、あ…」
「鈴原!」
二ノ宮君の両手に包まれていた顔が、二ノ宮の顔に近づけられる。
「よく見ろ、鈴原」
「…?」
「今お前の前にいるのは誰だ?」
それは、それは…
「二ノ宮、くん…」
僕の、好きな人。
「あぁ。俺が、怖いか?」
「ううん」
「お前が怖がってるやつは、もういないから」
「うん、」
「ちゃんと俺を見ろ、 遥」
「!」
な、名前…。
「俺だけだよ。お前の前にいるのは、俺だけだ。今も、これからも」
「うん、」
「だから、大丈夫だ。」
「うん」
「もう泣かなくていいから」
また、僕は泣いてる。
二ノ宮君は、軽蔑しないだろうか。
全てを知って、突き放したりしないだろうか。
汚い、と。
遥、ともう一度僕の名前を呼ぶ。
「俺だ、二ノ宮真人だ」
「うん、二ノ宮君だ、」
そう言って、二ノ宮君はもとから近かった顔をもっと近づけ、もう一度ゆっくりと優しく唇を合わせた。
さっきよりも、佐々木さんよりも優しくて、柔らかな、キス。
「ふ、…」
ただ触れているだけなのに。
二ノ宮君の唇は、熱かった。
これがファーストキスなら、よかった…。
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