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限界なんです
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「あの、二ノ宮君」
「なんだ」
「これは、なんでしょうか…」
なんで、こんなことになっているのだろうか。
「何って、抱っこ?」
学校が終わり寮に帰ってきた後、急になったインターホンに出るとそこには二ノ宮君がいた。
何か用があるのかと聞いたけど、特にとしか言わず、首を傾げながらも部屋に入れた。
「何か飲む?」
「コーヒー」
そう言ってテーブルにコーヒーを置くと、鈴原、と名前を呼ばれた。
返事をすると、こっちに来いと言う。
二ノ宮君の目の前に行くと、どうしたのと聞く前に、手を引かれた。
ぽすんっ、と二ノ宮君の膝に腰を下ろす。
「え、ちょ、なに…!?」
驚いて腰を上げようとしたけれど、その前に手を回されて動けなくなる。
ど、どうしたのだろうか。
僕の背中に二ノ宮くんが額を当てたのがわかった。
「鈴原」
「な、なに…」
「いや、なんでもねぇ」
ん、んーー。
これは本当に困った。
それからしばらくそのままだった。
「お、重くない?」
「軽い」
「そ、そっか…」
何か聞いてもそっけなく返ってくるばかりで話の続けようがない。
けれど、
「佐々木翔」
「っ!」
突然ポツリと発した二ノ宮君の言葉に体が固まった。
「な、なん、なんで…」
軽く誰だと聞けばよかった。
けれど、そんな事できなかった。
ぐっ、と僕に回された腕の力が強くなる。
「ごめん、勝手に調べた」
「あ、いや別に、…」
「大丈夫だから」
「うん、?」
「もう心配しなくていいから」
「も、大丈夫だよ」
「無理しなくていいから」
「無理なんて…」
けど、と二ノ宮君は続ける。
「お前に触れたのが一番じゃないってしって、ムカついた」
だから、と。
「消したい。お前からあいつの存在を消したい」
「二ノ宮、君…」
「お前の中を俺でいっぱいにしたいよ」
君は。
気付いているだうか。
僕の心はもう手遅れなくらい君でいっぱいなのに。
君に見えない顔は、のぼせるくらい熱いというのに。
「好きだよ、鈴原」
どうしてそんな、僕の心臓を壊すようなことを言ってくるのだろう。
僕だって、
「僕も、好き、です。」
こんなにも君が好きだというのに。
その気持ちを止めてくれない君は、本当に凄い。
「お前にこんなことできるのは、俺だけだよ」
「い、いやこれは…は、ずかしいよ」
「それが可愛いんだろ」
「かっ、、っ」
おかしい。
僕に可愛い要素なんてないのに、上野くんと同じことを言う。
上野君より、恥ずかしいけれど。
「も、もう離してください…!」
「やだ」
そう聞こえた二ノ宮君の声は、笑いを含んでいた。
いや本当に、僕が限界なんです。
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