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執事はいついかなる時も
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付いて行こうとしたけれど、
「待った」
と、肩を掴まれたから振り返った。
「上野君、なんで、」
僕の肩を掴んでいたのは、上野君。
なぜか執事の格好をした上野君。
「なにのこのこついて行こうとしてんだ馬鹿」
「えっ、」
前にいる生徒たちは、上野君の姿を見て、見とれてる人もいれば、慌てている人もいる。
「悪いけど、こいつもらってくぞ」
そう言ってそのまま腕を引かれる。
「待てよ!こっちだって用があるんだ!
だいたいなんでF組がここにいるんだよ!」
けど、そのまま引き下がってくれるわけではないらしい。
「お前しらねぇの?文化祭の時は全校自由だぞ。
なぁ鈴原」
話を振られて焦る。
「あ、う、うん」
それとも、と僕の方から手を離し上野君は固まっている生徒たちに寄る。
「全部教えて欲しいですか?坊ちゃん」
と、笑った。
「ふざけるな!お前らF組に教えてもらうことなんてねぇ!」
そんな言い方、ひどい。
「ちっ、冗談通じねぇな。
なら今回は邪魔されたと思って引け」
一瞬だけ睨んだ上野君に、生徒たちは怯み、そのまま走って行ってしまった。
「で、お前」
と、向きなおなれる。
「馬鹿正直について行く奴があるか」
「ご、ごめんなさい…」
その通りだ。
上野君、怒ってる…?
「ありがとう」
「お前、委員長サマから心配だって言われたことねぇ?」
「?、ある、けど…」
それがどうかしたのだろうか。
「やっぱり…そういうところだぞ」
断るならはっきりしろ、と。
「は、はい…」
本当にその通り。
「ま、今回はもう終わりだ」
ポンっと頭に手を置かれる。
「ありがとう」
「おう」
ところで、
「その格好、どうしたの?」
ずっと気になっていた。
執事の格好で、手には白い手袋もして銀縁のメガネ。
いつもと違う髪型。
「あー、うちのクラス、執事喫茶らしい」
女性客狙って、だと。
「なるほど、うん似合ってるね」
いつも以上にかっこいい。
羨ましい。
「サンキュ」
じゃあ行くか、と手を引かれる。
あれ、さっきは助けてくれただけじゃ…
「あ、あの上野君。どこに…?」
「俺らのクラス。会長は特別サービスな」
「えっ、!?あ、いいの!?」
ついた、と立ち止まった目の前には扉。
僕の手を持ちながら、片方の手で扉に手をかける。
「あ、あの上野君…」
「では坊ちゃん、存分にお楽しみくださいませ」
なんだか、いつもと違う上野君でくすぐったい。
「お、お邪魔します…」
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