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食事
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俺は今すごく気まずい状況だ……
周りから聞こえる黄色い声の元、俺達は一言も喋らず、黙々と食べ、食器の音だけが響く
全く会話がない
先輩に一緒にお昼を食べようと誘われ、断ることも出来ず、食堂に入った俺達は、テーブルを三人で囲んで食べている
俺の真正面に座って食べているのが達哉で、俺の横に座っているのが朔夜先輩
先輩は俺の体にみっちりくっつき離れない
ちょくちょく先輩は俺の左手を握ってくる
しかも、普通に握るのではなく、手を絡めた恋人繋ぎ……
ほらまた、先輩の暖かい手が俺の手に触れる
テーブルの下で握られているから達哉には見えない
周りにも見えていないと思う
俺と先輩が座っている場所は、後ろに壁があるからだ
この空気耐えられない……
食事が全く進まない
「雪どうしたの?食欲ないの?」
先輩が心配な表情で、俺の顔を覗き込んできた
「……大丈夫です。今日、あんまりお腹空いてなくて」
誰のせいだと思ってるんですか……
先輩のせいですよ……
緊張と恥ずかしさで今俺の顔は真っ赤だと思う
「そうなの?雪、熱いけど本当に大丈夫?」
先輩は俺の頬に触れる
「……本当に大丈夫です」
「無理はしないでね?」
「……はい」
俺はふと、ある視線を感じた
達哉の視線だ
達哉がいるの一瞬忘れてた……
達哉は、目の前でイチャイチャするなみたいな顔で俺の顔を見てきた
そんなんじゃないよ……‼
そんな視線の会話をしていると、達哉を呼ぶ声がした
「おっ、達哉見っけ!」
その声は川田先輩だ
「わっ、しかも朔夜もいるし。……もしかして、二人付き合い始めたの?」
川田先輩は、俺と先輩を交互に見て、驚きの言葉を言ってきた
俺は咄嗟に「違います!!」と言うと、横から先輩がまた、驚きの言葉を言った
「雪とは、付き合う予定。というか、絶対付き合う」
先輩の言葉に固まっていると、川田先輩は自分がここにきた理由を思い出したように言った
「付き合ってるように見えたわ……そうだ、達哉に俺は用事があるんだった。ちょっと付き合え」
「えっ……、嫌です」
「即答だな……これやるから来い」
達哉に渡したのは、達哉の大好きな歌手のライブチケット
「行きます!!」
そう言って、達哉は川田先輩とともに何処かへ行ってしまった
川田先輩のお父さんがチケット関係の仕事をしているらしく、安く手に入るのだと前に達哉から教えてもらった
達哉の彼女さんの映画のチケットもそうだ
食事を食べ終え、腕時計を見ると、後10分ぐらいで次の講義が始まる
「先輩、俺も次の講義があるのでこれで失礼します」
そう言うと、寂しそうな表情で俺を見て言った
「そっか、今日は楽しかったよ。また明日、一緒に食べよ?」
先輩が耳のしゅんとなった犬に見えてきた……
断れない……
「……分かりました」
「やった、ありがとう……チュッ」
先輩はニコニコしながら、俺の頬にキスをした
「……先輩!」
「大好きだよ、雪」
先輩といると自分がおかしくなる……
返事を返さなきゃいけないのに……
何で言えないんだろう……
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