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もやもや
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俺は今、中庭へと続く道を歩いている
先輩に「食事をする前に会えますか?」とメールを送ると、すぐに「中庭で待ってる」と返事がきた
あまり行かない中庭
中庭にある噴水のベンチに人影が見える
あの後ろ姿、先輩だ
それと……もう一人……だれだろう?
……女の子?
俺は見つからないよう、噴水を挟んだ反対のベンチに座る
何か話してるのかな?
邪魔しちゃいけないから終わるまで待ってよう
俺は後悔した
なぜこのとき、この場所を離れなかったんだろうと……
噴水の水が流れる音と共にとぎれとぎれ女の子が喋る声が聞こえてきた
「…………、…………鳴海先輩、……ずっと……好きでした…………付き合ってください………………」
今なんて?
先輩の事が好き?
俺は固まってしまった
「……俺は………………だから、つきあ…………」
固まっていると先輩の声が聞こえた
でも、水の音でうまく聞こえない
何て言ったの?
恐る恐る先輩のほうを見ると、12時を伝える鐘と共に噴水の水が高く上がる
それと同時に、先輩と女の子がキスをしているのが見えた
……えっ?……嘘だよね……
すごくモヤモヤする……
……何これ
俺は急いでその場を離れ、モヤモヤした気持ちのまま午後の講義を受けた
家に帰ってもモヤモヤは収まらなかった
先輩に自分から会いたいとメールしたのにすっぽかしてしまった……
先輩から電話とメールがいくつも来ていた
メールを見るのが怖い……
先輩に会うのが怖い……
でも、丁度よかったのかもしれない
先輩は遊びだったんだ
先輩が好きなのは女の子
手の甲に水が落ちる
俺はいつの間にか泣いていた
気付いてしまった……
俺は先輩が好きだ
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