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バトン
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物心ついた頃にはお前はもう隣にいて、
一緒に走っていた。
それが俺たちの当たり前。
小さい頃の手を繋いでの、
ただひたすら走り回るかけっこからの、
小学校での運動会でのワンツー争い。
自分の中ではなんか腑に落ちなくて少しイライラしていた。
ただ一緒に走りたいのに、なんで対立しないといけないんだ。
なんで、順位なんか付けられんだ。
勝ち負けのためじゃないのに、でも負けたくはなかった。
それから、中学で出逢った「リレー」。
隣り合わせではなく、同じレーンを走って繋げる。
初めて繋げたバトンに、
今までになかった走り方に、感覚に、胸がぎゅっとなった。
そして俺の繋げたバトンを握って全力で走り切った姿に思い知らされた。
なんの前触れもなく、
俺はお前が好きだと。
だからと言って、お前への態度は変わらない。
一緒に走りたい気持ちは変わらない。
ただ、俺の中でのバトンに込める思いは、人より一つ、いや、二つ増えた。
「好きだ」と、
「気づかないで走り続けてくれ」。
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