アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
プロローグ
-
吐気のするような鉄の匂い。
太陽は確かにそこにある筈なのに光を通さない真っ暗なホール。
拍手喝采が止まなかった大勢の民の声もあっという間に悲鳴に変わった。
目の前の現象は本当に現実なのだろうか。
元気にこちらに手を振っていた大馬鹿なお前は、今はなぜかぐったりと横たわっていた。
腹部の方からは、今なお主張し続ける赤いものが流れ出ていた。
ああ、なぜこんな事になったのだろう。
思っていたよりも馬鹿な俺の脳みそは、それらも理解出来なかった。
いや、理解することを拒んでいた。
それでも、単純な右脳はどんどんそれを受け入れようとしている。
俺の、俺の大切な友人達は今は変わり果てた姿で、そこに…あった。
守ろうと思っていたものは守れぬまま、呆気なく散っていった。
これは幸せを貰ってはいけない者が、幸せを貰いすぎだ''罰''だ。
ならばどうすればいい。
俺は、焦り、怒り、悲しみを露にしている感情的な民衆達とは裏腹に、冷静に客観的に頭を廻した。
そして、その不格好で下劣な脳は、一つの答えに辿りついた。
今まで俺だけ沢山の幸せを貰って、彼らだけが傷ついていった。
その償いをしていこう。
1つずつ、1つずつ。
失敗すればやり直せばいいのだから。
「……ははっ」
不意に笑った唇からは、微かに乾いた笑いが漏れた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
1 / 4