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ノスタルジア ①
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今朝かかってきた電話のせいで、俺の心は千々に乱れていた。
はしゃぎ回る兄弟達に悟られるのが嫌で、頭が痛いふりをして、部屋の隅で小さくなっていた。
「ニート達、荷物片付けるの手伝ってちょうだい。」
母さんの言葉に、蜘蛛の子を散らす様に兄弟達は、家を出て行った。
逃げ遅れた俺は、あっさり捕まり、同じく逃げる遅れたカラ松と共に、二階へと向かった。
粗大ゴミとも言える荷物を、屋根裏へと運ぶミッションが与えられた。
俺が押入れに入って、カラ松から渡された絨毯だの引き出物の茶碗など、屋根裏へと押し込んだ。
「捨てるなり、リサイクルショップに持ってくなりすりゃいいのに。…使わないでしょ?こんなの…」
母さんに言うと、
「あんた達が、自立する時に使うかもしれないじゃない。」
もしかしたら、母さんは十四松に持たせてやりたかったのかもしれない。
十四松は、半年前にこの家を出て行った。
あの娘の元へと…
もう、終わった恋だと思っていた。
二人が連絡を取り合っていたなんて、知らなかった。
十四松が、あの娘の為にバイトしてお金を貯めていた事も。
俺の胸がチリ…と、痛んだ。
「一松、これがラストだ。」
カラ松から渡された、ダンボールを屋根裏へ置いた。
かなり乱雑だが、知ったこっちゃない。
俺にやらせるのが、悪い。
降りようとした時、小さな箱が目に入った。
『あ、これ…十四松の』
そう言えば、屋根裏は十四松のエロ本の隠し場所だったっけ。
もう一度見渡したけど、エロ本は見つからなかった。
これ、忘れて行ったのかな…
こっそりと、ソレをパーカーの中に隠して押入れから出た。
「一緒にコーヒーブレイクしないか?」
カラ松を無視して、家を出た。
何となく、他の奴らにソレを見せたくはなかった。
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