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小走りで向かう交差点。
いつもは屋外に出ると一気に不機嫌になる椿だったが、全く気にしない様子で駆けていた。
日向も暑さもなんのその。
足を進めるスピードを緩めると感じる、額ににじむ汗にだけは顔を歪めたが。
平日といっても昼。
そこそこ人通りの多い道。
見通しが少し悪いかもしれない。
椿は交差点あたりに着くとキョロキョロとあたりを見回した。
わからないかも、と思っていたがそれは杞憂だったらしい。
スーツをしっかりと着こなした、背の高いガッチリとした体躯をした男が、交差点の端っこに邪魔にならないように立っている。
それを見て椿はそれがすぐに誰だか気づいた。
昨日ぶりだけどかっこいいなぁ……。
道行く人がチラチラと視線を投げている。
そりゃそうだろう。
すっごくかっこいいんだから。
美人は3日で飽きるなんていうけど、土井さんを毎日見ても飽きる日なんてこないだろうなぁ。
椿は手に握っていた携帯を尻ポケットに押し込むと、智の近くに寄った。
「土井さん」
ひょこりと視界に入るように目の前に立つ。
すると突然のことでびっくりしたのか、椿の声に智はびくりと体を揺らした。
「び、びっくりした……」
「ごめんなさい。」
眉を下げて胸を抑える智。
その仕草にかわいいなぁ、なんて思ってしまった椿は小さく笑いながら首を傾げた。
そんな姿を見た智は、持っていたスマホを仕舞うと凭れていた壁から背中を離した。
「学校だった?」
「はい。疲れました。あの、結構待たせちゃいましたか?」
「ん?そんなことないよ。全然待ってない。早かった。」
「ほんとですか?」
「うん、ほんとほんと。何食べに行こうか。」
暑いのだろう。
少し緩んだシャツの狭間に空気を送り込むように、手扇が左右に動く。
かすかな露出から艶かしい肌が覗く。
汗の滲んだ健康的な色の肌。
椿はそれを眺めると唾を飲み込んだ。
例の如くゴクリと音がしたのを自分でも聞いて慌てて自分の顔を仰いだ。
「椿くん?」
「え?!はい?!」
「……何食べたいかなって……何が好き?」
智の隣を歩く椿。
視線を落とせば綺麗なエナメルの靴が目に入る。
前を見れば智を見る目。
こんなに見られたら動揺しそうなところだけど、この男離れているのか。
ちっとも気にしていない。
「あー、俺嫌いなもの何もないので何でもいいですよ。」
「へぇ、そうなの?いい子だ、じゃあ僕がいつも行く店に付き合わせちゃうね。」
「へへ、楽しみです。」
どんなお店に連れて行ってくれるんだろう。
きっとおしゃれなお店なのかも。
そう思いながら、椿は智の半歩後ろを着いて歩いた。
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