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目の前に運ばれてきたのはざるそば。
そして中央に置かれる海鮮丼と天ぷらの盛り合わせ。
豪華すぎる。
智の前にもざるそばが置かれる。
すると智は箸を手に取ると椿の方に一膳差し出した。
「ありがとうございます」
「口に合うといいけど。といっても僕が作ったものじゃないからね。美味しいよ。茶そばがおすすめだから半々のやつにしてみた。」
「ん!俺茶そば好きですよ!」
緑色のつやつやとした麺。
つゆの蓋を開けて、薬味を軽く入れてかき混ぜる。
箸で緑色の麺を救って、濃い梅雨の中に漬けた。
そしてそのまま口の中に含みながら吸い込む。
すると、鼻に抜けるわさびを感じて爽快感が体に駆け巡る。
感覚が冴え渡ったと思えば、次にはだしの効いたつゆの味と広がる緑茶の風味。
咀嚼する度にその香りは強くなって、ごくりと飲み込めば舌がもう一度と催促してくる。
鼻の奥にはまだお茶の風味が残っている気がした。
「どう?」
美味しさに感動しながら顔を上げた椿。
目の前には頬杖をついて、食事に手をつけてない智が椿を見ていた。
「すっごく美味しいです!俺、こんなに美味しいそば初めて食べました!」
「そう、それは良かった。」
椿が率直に感想を伝えると、智の顔がふわりと微笑む。
安心したような嬉しそうな顔。
「この海鮮丼もとっても美味しいから。あとこれ、天ぷらね。これもすっごい美味しいの。食べて?」
「はい!ありがとうございます!は〜!美味しそう〜俺こんな美味しいもの食べていいのかなぁ〜!」
茶そばはもちろん、普通のそばもとても美味しかった。麺が適度に固くて、コシがあって、それでもってそばの風味がすごく立ってて。
舌が肥えてしまいそうだと思いながら、手を伸ばした海鮮丼。
それもまたすごく美味しかった。
夢中で食べ進めていて、腹が膨れていくのも忘れていた時だった。
ふと椿が、顔を上げた。
もちろん椿の目に映るのは智の姿。
大きな手、綺麗な所作でつゆの入っている器をもって、箸で麺をすくってはその中に入れる。
そして、茶色のベールをまとった蕎麦は智の口の中に吸い込まれていく。
箸でつかんだ麺を口に入れる瞬間に、開かれる智の口。
鋭い歯となまめかしい光を放つ舌が覗く。
全てに椿の目線は釘付けになった。
ゾクリと身が震えて全身の毛が逆立った。
すごい……、えっちだ……。
とっくに閉じてしまった唇が咀嚼する度にもぐもぐと動く。
見られているとは全く思っていない智の顔。
その無防備さに、椿の何かが刺激される。
この人を今すごく驚かせたい……。
椿はそうっと手を伸ばすと、もぐもぐと動く智の頬にぴとりと触れた。
面白いほどにビクッと震える智の体。
瞬間椿の体には性的快感とはまた別の快感が走って心臓が満たされるように高鳴った。
すっごい……可愛い。
する、する、と動かす手。
頬の肉越しに感じる噛み砕いたそば。
それを感じた瞬間椿の手が小さく震えた。
「あっ……、」
今度は紛れもない性的快感を覚えていた。
ゾクゾクと火を灯しながら智を見つめる椿。
智はつゆを持っていた手を開放させると、自身の頬に当てられている椿の手にその手を軽く這わせて目線を寄越した。
「……なぁに、椿くん?」
こちらを向いた射抜かれるようなその瞳に、椿は息をひきつらせながら胸を高鳴らした。
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