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発進する車。
車では洋楽が流れている。
やっと落ち着いてきた椿はそのことに気づいて、大人は違うなぁと思った。
自分が聞くのは無難なJPOP。
英語と聞くだけでおしゃれな感じがするのは今も昔も変わっていない。
「どこに行けばいいとかよくわからなくてさ。俺らぐらいの年になるとご飯だけとかよくあるんだよね……でも君たちは違うのかなと思って。」
「……わかんないです。俺……デートとかしたことないんで……」
付き合ったことがあるのは裕人だけ。
しかも裕人とは学校に行って、帰って家でゲームをしたり……たまにDVDでもみたり?
そんなことしかしなかった気がする。
「……したことない?嘘だろ?そんな気使ってくれなくていいよ。」
気を使うって何のだよ。
こんな自分が何も経験してないですアピールなんてしてどうするんだよ。
見栄を張りたいけど張れる見栄がわからない。
「なんていうか、デートらしいデートって言うんですか?したことあるのって家でダラダラするぐらいで……」
「なんだかいやらしいね。」
「……いやらしい事考えてるのは土井さんです。」
思わず生あたたかい目で隣を見る椿。
この人は真面目そうで、性のことなんて興味ありませんみたいな顔をして……。
実はそういうことばかり考えてるんじゃないのか。
プレイボーイなんじゃないのか。
俺はチェリーボーイだけど。
虚しくなるからやめてくれ。
「そうかな?二人きりの部屋って言ったらする事は一つだろ?」
「もう、おじさん臭いですよ」
「はは、おじさんだからね。」
「……どこに向かってるんです?」
そう言われれば元も子もない。
椿は視線を窓の方に向けると話を変えた。
「ん、椿くん……ボルダリングって知ってる?」
「え、えぇ……聞いた事は」
ボルダリングってたしか、壁に石が突き刺さっててそれをよじ登るやつだった気がする。
椿はテレビで一瞬見た知識を呼び覚ました。
「僕、最近それにハマってて……一緒にどうかなって思ってね。運動は好き?」
ボルダリング、土井さんするんだ。
確かに運動してそうな体だなって思うけど。
きっとかっこいいんだろうなぁ。
土井さんは何をしても様になるだろう。
椿は初めてぶつかった智の胸板を思い出しながら、にやけそうになるのを堪えた。
「……はい、好きですよ。でもボルダリングとか俺やったことない…んですけど…」
「大丈夫、僕が教えるし……問題ないさ。運動は結構得意?」
「得意……なんですかね。そこそこだと思います。でもそれなりに出来てた方じゃないのかな。」
オメガはアルファやベータに比べてすべての作りが劣る。
体力はもちろん、力も、技能も、学力にだって差が出る。
しかし椿はそんなことには負けず、いつもアルファには叶わないにしてもベータの中に溶け込めるほどの力は持っていた。
「それなり……?まぁ……出来るなら問題ないだろう。きっとすぐに僕よりできるようになる」
智が気にかかるような顔をする。
しかし、些細なことだったのかすぐにその話題はすぐに無かったものになった。
「そんなことはないですよ。」
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