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小さな事務のような場所の前に車を停めた智は、後部座席を覗いてなにやら荷物を引っ張り出した。
手持ち無沙汰な椿はそれを見つめる。
中にはタオルやら服が入ってるようだった。
すると今度は智が椿を見つめる。
ばちりと目が合って椿は慌てて、あくまで自然に目線をずらした。
「ど、どうしたんですか?」
「いや、椿くんの服……汚れちゃうなぁって……僕の服でよければ着るかい?」
「えっ?!」
「汗もかくし……黒の服だと石灰ついたの目立っちゃうだろ?」
「……あ、あぁ……」
たしかに、この暑さだし運動したらすぐ汗をかくだろう。
汗臭い服で土井さんの隣にいるのも……、汚れた服で隣にいるのも申し訳ない……。
「僕の大きいかもしれないけど……」
「よ、余計なお世話です……」
「ははは、椿くん身長いくつ?」
「バカにしてるでしょ、土井さん……!俺の身長173はありますからね?!」
「へぇ、意外とあるね」
「失礼!」
からかうように片方だけ釣り上げられた眉。
それを見ながら、そんな顔までかっこよくて心臓はきゅんきゅんしてしまう。
身長をからかわれて、失礼だ。なんて建前では言ってるけど実際そんなこと少しも思ってない。
自分の身長でさえも土井さんと話す要素になるなんて。
むしろ……もっと小さくても良かったな、なんて思ってる。
……いや、土井さんにすっぽり抱き込まれたい……とかじゃなくて……。
いや、合ってるんだけど……。
「椿くん?」
「えっ、あっ?!はい?!」
「……どうしたの……中に更衣室があるからそこで着替えようか。ここじゃ狭いしね」
「……狭くないですよ……またそんな嫌味なことを……」
「嫌み?どうして?」
こんな広い車内が狭いだなんて、こんな車に初めて乗る俺には理解ができない。
椿はそんなことを思いながら首を振ると、いいです、と口を尖らせてドアを開けた。
「なにさぁ、言ってよ椿くん」
「なぁんでも。そんな気にすることじゃないですから。」
「そう〜?」
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