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第一章第三節:悪魔おそ松1
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side一松
「おそ松兄さん…ちょっと無責任過ぎやしない?」
十四松のいつもとあまりにも違う雰囲気に、おそ松兄さんも、俺も凍り付いた。
「ここがトッティにとって、どんなに危険な世界か分かっているの?おそ松兄さんは、地上の延長かもしれないけど、トッティはここに来ちゃいけなかったんだよ!」
俯きかげんの十四松の声は…泣いているようだった。
「そもそも生きた人間を魔国に連れ込むなんて、普通じゃないよ!」
――まずい。
「お前なんて『兄さん』じゃない!!トッティを返せ!!!」
――ああ、完全に言い過ぎだ。
「…分かったよ。全部俺が悪いんだろ」
おそ松兄さんは、俺らに背を向けた。
離れてゆく翼の生えた背中を、僕は必死で止めようとした。
――今、離れ離れになってはいけない、気がする。
「待ってよ。兄さん。どこ行くんだよ!」
「なんだよ」
睨み付けてくるおそ松兄さんは、悪魔という外観も手伝ってか、恐怖そのものに見えて、俺は一度掴んだ兄さんの腕を放してしまった。
「どこだっていいだろ。俺はお前らの『兄』じゃないんだから」
「そんなのただの売り言葉に決まってんだろ!十四松も言い過ぎだ!」
振り返ると、十四松は完全に下を向いて、動かなかった。
俺がもう一度、おそ松兄さんの方を見ると、もう、そこに兄さんの姿はなかった。
「ごめんなさい…トッティを助けてあげられなかったの、二回目だったから。おそ松兄さんは悪くないのに。僕がちゃんと見ててあげられなかったからなのに」
顔を上げることなく話す十四松の声は、歪んでいた。
「十四松。行こう。早くトド松探さないと」
「トッティ、どこに居るんだろ?」
「知らないよ。唯一手掛かり握っているおそ松兄さんが居なくなっちゃったんだもの…」
「…ごめん」
「俺には謝んなくていいから、おそ松兄さんに会ったら、ちゃんと謝りなよ」
俺と十四松は、その後、おそ松兄さんが眠り込んでいた辺りを調べ、手掛かりが無いことを確認すると、とりあえず宮殿に向かって歩き出した。
――早くトド松を見つけなくちゃ。兄弟の中で一番ヤバいのはトド松だからな。たぶん。
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