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第一章第三節:悪魔おそ松5
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sideチョロ松
空から十四松が、カラ松めがけてダイブしていた。
突然のことに、カラ松は受け止め切れるはずもなく、哀れかな、十四松の下敷きになってしまった。
「何してんの!?」
「えーとね、急いでたから、空か来ちゃった」
カラ松の上で、ポリポリと頬を掻く十四松。
「はぁ!?」
「チョロ松兄さんも、カラ松兄さんも、僕と一緒に来て。トッティが誘拐されちゃって」
「え!?」
「助けに行きたいんだけど、一松兄さんと僕だけだと不安で。だから、一松兄さんが二人呼んでこいって!」
「承知したぜ。マイ・ブラザー」
カラ松が十四松の下から這い出てきた。
「ブラザーよ、何度欠けても必ずフルムーンに戻る月のように、俺達は誰一人欠けてはいけないと、今宵の月が唄っている!」
何かよく分からないことを自信満々に言っている。
月って何回が言ったけど、なんで満月だけ英語なんだろう。
それより、ビシッと空を指差しているけどさ、
「今日、新月だからね。カラ松」
一気にシュンとしてしまった次男の肩をポンポンと叩いてやった。
「十四松もね、素人だけで動くようなことじゃないでしょ。警察に連絡したの?」
携帯電話をポッケから取り出すと、その腕をすぐさまガシッと掴まれた。
「違うの。チョロ松兄さん…」
いつも意図的に視点をずらす十四松の両目は、今、僕を射ぬくように捕えていた。
――ああ。非科学的ファンタジーはまだ続くんだ。
「分かったよ、十四松。で、どこに行けばいいの?」
「魔国だよ」
そう言うやいなや、十四松は僕の手と、カラ松の手を握った。
「え?何?」
十四松の突然の予想外な動きにちょっと驚く。
「大丈夫。手放さないでね」
十四松が透けてゆく。
カラ松に目をやれば、やはり同じように透けていた。
その表情は何故か、消えてしまいそうな程に悲しげに見えた。
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