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第二章:死神と魔王4
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「お前は!なんてことしてくれたんだ!」
目の前で兄さんが怒っている。
「神が魔国の政に関わるなんて、絶対に許されないの知ってんだろ?しかも反逆側に加担しただと!」
僕と皇太子は、いわゆるクーデターに踏み切った。
そして失敗した。
「どうすんだよ!?皇太子は追放転生、お前だって監視係とは名ばかりの半転生だぞ!」
皇太子は、転生といえば聞こえはいいけど、早い話が絶命をもった魔国追放。
僕も死神の仕事を抱えたままの転生、すなわち半転生。
死神の間で、これが最悪と謳われる所以は、来世と現世を同時に生きなければならい面倒さ。
「でも、兄さんだって半転生するんでしょ?」
僕はわざと笑ってみせた。
兄さんは兄さんで、不正転生に加担した。
なんでも神と悪魔と精を兄弟として転生できるように、ちょっといろいろな細工を仕掛けたらしい。
本来ならば、神と悪魔なんて禁忌なのに。
本人はバレないつもりだったみたいだけど、神の上役共はやっぱり侮れなかった。
「僕達、いい笑い者だよね。兄弟揃って半転生なんてさ。しかも、兄さんとこの湖の神と、水の精と、悪魔と、僕んとこの魔王、皆まとめて六つ子なんて、上層神からも匙投げられたってことだよね」
「ああ、違いないな」
――あ…
兄さんが笑った。
「つまらねーよな。俺はともかく、お前は真面目にやってきたのによ。たった一回お気に召さないことしただけで、こんな仕打ちなんてよ」
「僕は真面目じゃない。ただプライドが高過ぎのクソだ。だからポッキリ折れて暴走しちゃったんだ。兄さんみたいに賢く立ち回れなかった」
「俺はお前が羨ましかったぜ。真剣に悩めるってのは大した事だ。それと、俺はちっとも賢くねーよ。賢い奴は石橋を叩いても渡らねーって。俺は渡っちまったから」
「僕は…そんな優しい兄さんが好きだよ」
窓枠がカタカタと揺れた。
少し強い風が吹いているようだ。
気付けば、日も暮れていて、部屋の中は暗くなり掛けている。
僕が机の上のランプに手を伸ばすと、その手をパッと掴まれた。
「半転生したら、もっと自由に楽しく生きよう。どうせ人間の寿命なんて短いんだから。神だって悪魔だって魔王だって、楽しく生きてりゃ、悪いようにはならない。魂持ってる生き物なんだからな」
「うん…」
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