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第三章第三節:兄さんの待つ家3
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sideトド松
僕と、十四松兄さんと、おそ松兄さんは、居間でトランプをして遊んだ。
いつもなら直ぐに飽きてしまうのに、この時は不思議と妙に楽しくて、気が付けば外が暗くなっていた。
「晩飯にしよう。腹減った」
「でもご飯どうするの?」
そう。ここは僕達の家に見えるけれども、僕達の家ではない。
魔鏡の中にある偽物の家。
だから、ここには、毎日ご飯を作ってくれた母さんは居ないんだ。
「飯ならあるけど」
おそ松兄さんはそう言って席を立つと、不思議がる僕と十四松兄さんを余所に、台所からせっせとご飯を運んできた。
お皿に盛られたおかずも、お櫃に入ったご飯も、いつも母さんが作ってくれるものと変わりなかった。
ニコニコしているのは、おそ松兄さんだけで、僕も十四松兄さんもぞっとしてしまったが、それも始めだけで、直ぐまたおそ松兄さんのペースに飲み込まれていった。
この偽りの家に入ってから、不思議な程に全てが楽しい。
いつもは時よりウザいおそ松兄さんも、全くもってウザくない。
晩ご飯も談笑のままに終わった。
お皿を洗い終わると、「早く銭湯に行こう」と当たり前のようにおそ松兄さんが言ってくる。
恐々玄関の外に出てみると、そこには、いつも見る道、近所の家、いつも見る風景が広がっていた。
ここまで来ると、よく分からなくなってきた。
さっきまでの出来事がただの夢で、今が現実ではないのか、と。
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