アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
第3章 12
-
「え、トア、切ればいいの」
「…………あぁ」
「……。…よし、分かった」
何だろう、包丁ってこんな重いっけ
うわ、怖っ
「……………」
「……………」
なんだっけ、オムライスだっけ
いや、オムライスとか、手作りの食べたことないや
初オムライスかぁ…
「…………」
「…………」
隣を横目で見る
トアが卵を割ってる
片手で角にぶつけてパカっと…
「え、片手?」
「…まぁな」
「わぁ、慣れてるんだ」
「…………一人で食べることが多いから」
「へぇ……、いっ…た」
はい、余所見で指切るっていう
まぁ絶対やるとは思ったよ
あー……ドス黒い血がぁ…
「何してんだよ」
「切った」
「見れば分かる。………ほら、指」
「え?あ、良いよ、別に」
「良いから」
指に絆創膏を巻いてくれる
これも、慣れたような感じでささっと
「…ほら」
「………」
「…………おい、起きてるか」
「…うん。………こうやってもらった事なくて」
「………」
「…ありがと」
精一杯笑ったつもり
普通に笑おうって、頑張った
確かな優しさが、嬉しくて
作り笑いなんかじゃない笑顔で言いたかった
「…………ーーー…」
「え?今何て?」
「……別にそんなんじゃねぇ」
ほんのり赤くなってるトアの耳
そっぽを向いて、卵を混ぜ始めて
何でだろう
何でこんなに胸がふわふわするんだろ
初めてだ、こんなの
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
54 / 181