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第4章 16
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「……出来た、ほら」
「ん…。…………トア」
「……座れ」
席に座る
いい香り
何だけど、どうして目の前に
俺の好きな
「……オムライス」
「…好きだろ、コレ」
俺の隣に立つトアは何処か自信満々で
オムライス以外に、サラダとお水
なんか、ディナーみたいな…
取り敢えずスプーンを取って
「待て」
「えっ…」
「まだ完成してねぇんだよ」
目の前からオムライスが消えて
トアの片手に
もう片手にはケチャップ
…なんか、書いてる?
「………ほら」
「……『バカ』…」
「あぁ、バカオムライスだよ」
「…何でさ」
「お前、叶恵さんに頼まれてたんだろ」
「…頼まれてないよ、俺本当にね」
「叶恵さんが謝ってたよ」
…あれ
あの人俺のこと散々言っといて
簡単に諦めたんだ
……じゃあバレちゃうじゃん
嘘だって
「……コレで、クリスマスは一緒でいいだろ?」
「………でも、俺一緒にいれないよ、嘘ついたもん」
「…。……せっかくお前からこれ貰おうと思ってたのに」
「……あ…」
トアの手にあるのは
見覚えのある包装紙
小さな、箱
「…買ってくれてたんだろ、ロミオさんから聞いたよ」
「…………いや、それ…」
「…ツバキ」
「…は、はははっ、俺、ダメだなぁ…まともに嘘もつけないし、…」
「………うん、そうだな」
ふわっと、抱き締められる
わざわざ、屈んでくれて
頭を首筋に押し付けてくれる
背中を撫でてくれる
首筋からは甘い香り
不器用に背中に伝わる暖かさ
「あ、はは…、あれ…?ね、トア、目の、前がさぁ…?」
「……うん」
「滲ん、でて……」
「…うん」
「…わら、えて、る、よね…」
「……泣けよ、好きなだけ」
「……うっ、ぐす……っ、あ、…あぁ…あぁぁぁぁ…っ!」
「…よく頑張ったな」
息が途切れ途切れに
止めたくてももう止まらない
糸が切れて、留め金が切れて
涙が溢れる
溢れて溢れて
「うっ、ごめ、なさい…っ」
「うん」
「ごめ、なさ……」
「……許すよ」
涙は止まらなくて
ごめんなさい
君を好きで
好きにならない様に、君とは友達でいれるようにしてたのに
また、また俺
君に、恋をしてしまう
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