アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
同窓会①
-
同窓会なんて、幸せな生活を送ってるヤツらが、優越感に浸りたいが為に行くもんだと思ってた。
だから、同窓会の案内にも欠席に丸をつけるつもりだった…
でも、ペンを取り丸をつけようとして、その手を止めた。
記憶の片隅、忘れようにも忘れられない記憶が、俺の手を止めさせたのかもしれない…
―中学三年の夏―
「木下。お前このままだと志望校やばいぞ」
「…はい」
「何か悩み事か?先生に言ってみろ」
先生の事が好きなんです…
「……」
本当は赤点取ったのも、この補習で二人きりになりたかったから。
「何だ何だ?先生に言えない悩みか?あ…分かった!恋の悩みだろ?アドバイスしてやろうか?」
「本当に?」
「あぁ。先生嘘つかないぞ?何でも言ってみろ」
何でもか…先生、アンタ今言った事の重大さ、ちっとも分かって無いよ…
―グイッ―
「―っつ…な…何だ?」
気付けば俺は、先生の手を握っていた。
「俺、キスした事ないんです…」
「へ、へぇ…でも、そういうのは、焦らない方が良いと思うぞ…ちゃんと好きな娘とだな…」
だから、その好きなコ先生なんですけど。
「じゃあ、その好きな娘とキスする時の為に、やり方教えて下さい」
「ったく…このマセガキ…受験生のくせにそんな事ばっかり考えてっから赤点なんか取る…」
「教えてくれないんですか?さっき何でもって言いましたよね?嘘だったんですか?」
「う…分かった教えてやる。まず、頭傾けるだろ…まぁ、どっちでもいいんだけど、大体右側だな。そんで、歯がぶつからない様にゆっくりと…」
「言葉だけじゃ全然分かんないです…」
―ガタン―
「―つっ…⁉︎」
俺は握った手を引き寄せて、先生の唇に俺の唇を重ねた。
さっきの先生からのキスの説明は全く生かされず、勢い余って歯がぶつかる。
「痛っ…ん」
逃げられない様に肩を掴んで、先生の唇に舌を入れ様としたら…
―ガリッ―
「いってぇ~」
思いっきり噛み付かれた。
「ディープはまだ早い!それに、誰が実技付で教えるって言った!」
「つい…」
「‘つい,でキスなんかするな!もう今日の補習は終わりだ!」
そう言うと、先生は教室を出て行った…と、思ったら戻って来て…
「…一言忠告してやる…キスする時は、ちゃんと目閉じろ…」
一言俺にそう言うと、先生は去って行った。
真っ赤な顔で。
―ミーンミンミン―
うだるような暑い夏の日…そんな俺のファーストキス。
懐かしいな…結局あの後、何の進展も無いまま卒業したんだっけ…
俺はそんな事を思い出しながら同窓会の案内に書いてある、幹事の連絡先の番号にダイヤルした。
「久し振り。俺、木下だけど…あぁ元気だよ。今度ある同窓会なんだけど吉井先生も来んの?…そっか、分かった…あぁ…うん…じゃあな」
俺は電話を切って、ペンを取ると‘出席,に大きく丸をつけた。
あの日、先生の耳まで赤くなった顔の訳を知りたくて…
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
1 / 5