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side 須藤充
────バタバタバタ、ガチャンッ
そのまま階段を駆け下がって白い部屋に向かって帰る
走っては行けないと頭は言うけれど俺の体は止まらずに走った。5分くらいしたところで肺が苦しくなり電柱を支えにやっと止まった。
「はぁ、はぁ…んっ…はぁ…」
だめだー、頭ガンガンする。
「てか…はっ、はぁ、くそっ、何あれ…」
世にいうキス。ソフトタッチキス。
魚じゃなくて人間がする方のキス。
「初めてだったのに…」
いや、男の俺が何きもいこと言ってんだ
でも、でも、キス…?はぁ?
なんであいつ俺にキスしたんだ…!
「あの、大丈夫ですかぁ?」
スラッとしたスタイル少し小柄なスーツを着た男の人
語尾を可愛らしく伸ばし可愛い顔に似合う喋り方
「すみませ、ん。走りすぎて、大丈夫です、」
そう言うと少し顔を赤くした男の人が近くの自動販売機で水を買ってくれた。
「そのままだと変な人に連れてかれそうだし…どうしよぉ、おうちは近くかなぁ?」
この人すごく童顔、なんだろうか
高校生と言われても受け入れられそうなのに、スーツを着ているからきっと成人男性なんだと思うけど
どんどん呼吸が早くなってきて、見ず知らずの人に支えてもらいながらベンチに座る。
「すみません、少し、電話していいで、すか」
「えっ、いいけど〜、電話出来る???」
「出来る、と思います、携帯お借りして、いいですか、」
息切れしながら言うと快く携帯を取り出して数字キー画面にして渡してくれる人。
プルルルと言う数回のコール音を鳴らしながら「はい、どちら様でしょうか」と長谷川先生の声が聞こえる。
「せ、んせ、公園の、とこ、いる、」
あまり、話せない。目がクラクラしてきた
黙ってしまった俺の代わりにバッと男の人が携帯をとる
隣で「渡辺葵(ワタナベアオイ)と言う者です」と言った声が聞こえて、名前まで可愛らしいと呑気に考える俺
「○○総合病院近くで息切れした男の子を見つけて、えっと、今…ここなに公園って言うのかなぁ…病院近くの公園なんですけどぉ…」
そのまま電話は繋げたままで10分くらいすると走りながら「充くん!」と呼ぶ長谷川先生の声が聞こえた。
「すみません、この子の主治医の長谷川です。お電話ありがとうございました。」
「この子、入院してるんですかぁ?」
「ええ。たまに無理をしてこういった発作を起こしてしまうので、見つけて頂いてありがとうございます」
「いいですよぉ、高校生ですよねぇ、この制服」
「?そうですね。すみませんが充くんの状態が見たいので連れて帰りますね、本当にありがとうございました」
「は〜い。充くん、お大事にねぇ」
俺は答える気力もなく、コクンッと首だけで返事した
その葵さんという人は帰っていったけど、長谷川先生がその場で手際よく薬を出して飲ませてくれたので発作も収まり、自分で歩けるようになるまでベンチに座っていた。
「どうして走ったの?」
と少し悲しそうな顔で言う先生
どうしてって、あいつが…
そこまで考えて顔に火がついたように熱くなる。
「なんとなく、です。迷惑かけてごめんなさい…」
「いいんだよ、走りたい時もあるよね」
そう言って深くは聞かないでいてくれる。
先生のそう言うところが好きだ。
「でも無理厳禁!!」
ちゃんと叱られてしまったけど
その日は病室について食事やシャワーを済ますのすぐ眠ってしまった。
疲れたし、明日どういう顔をしたらいいのか分からないや
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