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ビギナー8
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(神田語り)
舐められた感触に驚いて、唇をほんの少し開けると、ぬるりと春馬先生が侵入して来た。
シートベルトをしたままの身体は身動きが取れずに、されるがままだ。キツく目を閉じたので、視覚が遮断され感覚のみで状況を探るしかなかった。
助手席のシートをさりげなく倒される。
春馬先生が俺の上に半分のしかかって、耳の後ろに指を回し、俺の口を吸ってきた。『吸う』って可笑しな表現かもしれないが、ゆるーく、温かい口に、舌を絡ませながらリズムよく吸われていたのだ。緊張が溶けて、強張っていた力が抜けて行くのを感じた。
温かい。蕩けてしまいそう。
ちゅ、ちゅ、ちゅ、と唇が立てる音と、ちゅくちゅくと唾液と舌が作る音が辺りに響く。お酒なんて飲んだことがないけど、きっと酔いとはこんな感じかな。熱に浮かされた頭で思った。ふわふわと気持ちがいい。
キス……うわ、キスしてんだ。
「ふぁ……ん、ん、ふぅっ……ぅ、ん…」
春馬先生の服をきつく握っていた手が離れたのを合図に口が離れた。親指で唾液を拭われた時、垂れていたことに気付いて恥ずかしくなる。ヨダレ……拭かれちゃった。
でも、口の中では2人の唾液が混ざっているよね。キスって物凄くいやらしい。
いやらしすぎて、卑猥だ。
「可愛いな。紘斗のこういう顔見てたら、もっと虐めたくなる。キスを大好きにしてやりたい。怖くないよ。怯えないで……」
「んっ……怖くないよ。だいじょうぶ。あのさ、春馬先生は、俺のこと……嫌い?」
ずっと聞きたかったことを、恐る恐る口にした。付き合うと約束した日から、春馬先生の気持ちは不確かなままだった。
「はぁ?嫌いな訳ないじゃないか。嫌いな奴を迎えに行ったり、デートに誘ったりしないよ。あ、そうか。不安だったのか。ごめん。俺たち、互いに探り合いをしてたみたいだな。ほぼ毎日放課後を共に過ごしているのに、何やってたんだか……」
「でも……春馬先生はモテるじゃん。俺じゃなくても……いいじゃん……男だし。非生産的だよ。」
突然ふわりと抱きしめられた。春馬先生の匂いが降ってきて息が止まりそうになる。溺れてしまいそうだ。
「俺は紘斗がいいって言ってんの。余計なことは詮索しない。女関係は全部整理したから、安心して欲しい。非生産的って誰が決めたんだ。」
「ほ、本当に?俺だよ。俺でいいの?」
「もう黙る……」
再び唇が重なった。今度は見様見真似で俺も舌を動かしてみるが、難しくてよく分からない。必死でついついこうとした時に、春馬先生の膝が俺の股間に食い込んできた。ぐいぐいと押される。
な、なにしてんの……変な感じ。尿意とは違う感覚でパニックになった。
「ふぅ……せんせ、それ……だめ、だめ。押さないで。ぁッ……」
「やっぱり反応がいいな。素直だ。」
春馬先生の手が股間をやんわりと揉み始めた。しつこいキスも、固くなったチンコを撫でるのも、止めてくれない。
気持ちがよくて頭がおかしくなりそうだ。こんな姿見せたくないよ。
どうしよう。勝手にキモい声が出る。
「んん、やだ、ぁっ、ぁ……何か来る、ぁッ……はるま、せんせ……やだ……ぁ、あんんー……」
「紘斗、好きだよ。」
耳元で囁かれた直後、下着の中に生暖かくてねとっとしたものが吐き出された。
快感と不快と、羞恥が同時にやってきて、俺は暫く放心状態になる。全てが俺の日常からかけ離れ過ぎて、正常に頭が作動しない。
最悪だ。今まで生きていて、1番最悪な事件が起こった。
涙がジワリと目元を濡らし、また泣いてしまったと自己嫌悪に陥る。泣かないとやってられないけど、疲れるから好きじゃない。
それから3日が経った。
放課後、身体が勝手に国語準備室へ向いていることに気付く。暫くは春馬先生と顔を合わせたくない。バイトの時間まで学校外で時間を潰そうと、反対方向を向いて帰ろうとした時だった。
「おー、神田。この間はどうだった?準備室行くんだろ。こっちだぞ。ここ最近、お前が来ないから片桐が寂しそうにしてる。ちなみに、葵も心配してる。」
「熊谷先生……あ、あの……俺、今日は帰ります。また今度……」
「帰らなくていいからさ、3日前に何があったか聞かせてもらおう。ってか絶対聞いてこいって葵に言われたんだよ。さ、行こうか。先生とお話ししよう。神田も人並みに悩んだりするんだな。」
熊谷先生に首根っこを掴まれて、国語準備室へ連れていかれる。
あれから葵さんからのラインも、春馬先生の着信も全て無視していたのだった。
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