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出来ない相談2
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(葵語り)
教会内に、正装で緊張した面持ちの悠生さんが1人で入場してきた。
新郎は前方で新婦を待つようだ。
いつも島田を心配しているいいお兄さんが、もうすぐ父親になる。俗に言う『授かり婚』で、睦月さんのお腹の中には赤ちゃんがいる。
だけど、そうでもしなければ、2人は結婚という選択肢を選ばなかったと思う。島田の親代わりでもあり、兄でもあるから、島田を1人にすることは悠生さんなら絶対にしない。
あれだけ認めようとしなかった彗さんと島田の仲も渋々了承したようで、笑顔のみんなを見ていると世の中は結果オーライだと感じた。
パイプオルガンが教会内に響き渡り、重々しい扉が開いた。
純白のドレスを着た睦月さんが、お父さんとヴァージンロードをゆっくりと歩く。白とオレンジのバラを基調としたブーケがとても似合っていた。
お腹もふんわりとしたドレスだからか全然目立たない。
花嫁さん、すごく綺麗だな。
聖歌隊が歌うアベマリアが教会内に響き渡った。振動した音符が頭の中で反響し、涙腺が刺激されて涙が滲んでくる。
先生が結婚式は幸せのお裾分けと言っていた意味が分かった気がした。
まるで2人が今まで歩んできた道はこの為にあるような、取り巻く全てのものに祝福され温かい空気に包まれている。
何故だか無性に先生が恋しくなり、見上げると優しい笑顔を見せてくれた。
うん、俺も幸せだな。
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「だから、駄目。駄目って言ったら駄目。」
「なんで?少しの間だけだよ。」
「期間の問題じゃない。内容が問題なんだ。酔っ払いの相手なんか絶対に駄目。」
披露宴で期待通りの絶品スィーツを食べて、二次会はcaféRを貸し切って行われた。
21時から始まった二次会は、終始賑やかだ。彗さんと島田は店側で忙しなく働いている。
そこで、悠生さんから赤ちゃんが生まれるまでの間、夜のカフェバーにバイトとして入ってくれないかと頼まれたのだ。
側に居た先生に相談したら、案の定速攻で反対された。
お客さんにお酒出して、時々話し相手になるくらい何の問題もないのに……何故だろうか。
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