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嫉妬と羨望1
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(葵語り)
こうして、caféRでのバイトが始まった。
結婚式から少し経った9月初旬から夜の部で働くようになった。
20時を過ぎると間接照明に切り替わり、BGMもジャズになって、お酒を出すお店に変わる。堅苦しくない軽い感じがコンセプトだ。お客さんも若い女性が多い。勿論、先生の心配する男のお客さんも来るが、今のところ悪い人は居ないように思う。
お酒は慧さんと先生の弟である和樹さんが作る。かしこまったバーではないから、カクテルの名前はすぐ覚えた。しかも悠生さんの趣味で沢山焼酎を置いていて、それ目当てのお客さんも少なくはない。
銘柄を聞いて探す方が大変だったりする。
今夜も、23時までシフトに入っている。先生が一度家に帰って、時間になると迎えに来てくれるらしい。
1人で帰れるのに、心配し過ぎなんだよ。
先生が言う程、俺は襲われたりしないし、狙われることもない。考えすぎだ。
そのうち向こうも気が済むだろうから、そしたらやんわりと断ろうと思っている。
「ねえ、あそこのお客さん、葵君を呼んでるけど、知り合いか何か?」
今夜は島田もバイトに入っていた。
島田とは夏休みでも殆ど毎日顔を合わせている。学校の講義も同じものばかりだ。
島田が言った先には、スーツ姿の男性がいた。今日は1人で来店している。短髪に良い姿勢。たぶんあの後ろ姿は、松山さんだ。
「知り合いじゃないよ。お菓子の話で盛り上がって意気投合しただけ。お客さんの1人だって。」
「それならいいけど。あんまり仲良くしたら、変態教師に見つかって外に出られなくなるよ。あの人、最近輪をかけて嫉妬深いから、怖いもん。何かあったら何時でも何処でも助けに行くから僕に連絡するんだよ。」
島田は松山さんより、先生の方を心配しているらしい。少し笑った。
「だから、そんなんじゃないって。大丈夫だから心配しないで。」
そう言うと、俺はカウンターに座っている松山さんへ近づいた。
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