アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
そうだ京都へ行こう4
-
(葵語り)
京都行きに案外あっさりと許可が出て拍子抜けする。
先生に『楽しんでおいで』とか、そんなことを言われるとか予想もしていなかったので、別の声を上げそうになった。
本当は反対されたら、すんなり諦めようと思っていた。もし答えを貰えなかったら、不快の証だと判断して断ることにしていた。
折角許可を貰ったのに、何か複雑な気分だ。信用して欲しいと怒ったのは俺なのに。すんなり思いが叶うと物足りなくなるとか自分の我儘さに呆れる。
寝ている先生の脇の下に潜り込みながら、土曜日を楽しみに思い浮かべて眠った。
翌朝、松山さんにメッセージを返信すると、とんとん拍子に詳細が決まっていき、あっという間に当日を迎えた。
=-=-=-=-=-=-=-=-=-==-=-=-=-=-=-=-=-=-=
待ち合わせの駅は自宅から行った方が近かったので、前日は先生の家に泊まらずに直行する。朝早く駅の改札口で松山さんの姿を見つけた。
スーツではなく、シャツにチノパン、皮のショルダーバッグというラフなスタイルだった。てっきりスーツかと思っていたから、俺と同じような格好に驚いた。
「おはようございます。松山さん、今日はよろしくお願いします。」
「こちらこそ。誘って迷惑じゃなかったかな。保護者さんとか大丈夫だった?」
開口1番に先生の話題が出た。
気にしてるんだ。俺のことをよく思ってくれてるみたいだけど、全く実感が湧かない。
ただの面倒見がいい優しいお兄さんて感じだ。
「そんな気にしないでください。ちゃんと許可貰ってきたんで、堂々と行けますよ。迷惑にならないようにって言われました。」
「そう。よかった。じゃあ行こうか。」
2人で並んで駅構内を歩き始める。松山さんは先生より背が高いし、全体的にがっしりしている。俺なんか後ろに立つと隠れてしまいそうだ。胸板も分厚い。
「うわっ、すみません。」
「大丈夫……?」
新幹線の席に座る際によろけてしまい、咄嗟に松山さん側へと引き寄せられた。ふわりと柑橘系の香水の匂いがする。飲食店でバイトを始めてから香水の類にはより敏感になっていた。
「松山さんは何かスポーツやってたんですか?」
引き寄せられた腕が逞しくて思わず二の腕にペタペタと触れてしまう。筋肉が固くて、男として羨ましい。今でも鍛えているのかな。
俺は高校を卒業してから何もやっていないから弛んでいる。この間だって先生が俺の二の腕をモミモミして顔を埋めていた。
「ああ、学生時代にラグビーをやっていたんだよ。」
そう答えた松山さんは少し嬉しそうに見えた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
28 / 161