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青春狂走曲12
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(葵語り)
少しの間微睡んでいたが、先生に起こされる。もうちょっと寝ていたかったと目をこするも、ここは他所の高校なんだと思い直した。いつまでもこうしてはいられない。
制服を着て、カフェラテで汚れた服を袋に入れた。2人分の精液を包んだティッシュは、別にビニール袋へ入れて持ち帰る。見つかったら真面目な生徒さん達に迷惑がかかってしまうからね。
「国語準備室に俺のロッカーがあるから、そこでジャージ貸してやるよ。それで帰るのが恥ずかしくて嫌だったら仕事が終わるまで待ってて。でもな……ギリギリまで制服姿を見ていたいから、やっぱ連れて帰るわ。制服は俺が返しておくから心配いらないし。あぁ、可愛い。このまま持って帰りたい。」
引き寄せられ、強引に抱きしめられた。
うにうにと頬っぺたを寄せられる。
この格好がよほどお気に召したらしい。さっきからことあるごとに熱い視線を感じる。見られている感が凄い。流石コスプレ好きだ。
「もう、おしまいだから離れて。言うの忘れてたけど、島田もいるよ。元々誘ってくれたの神田君だし、後で2人も準備室に呼んでもいい?」
「また島田かよ。しかも神田のオマケ付きか。」
島田の名前を出すと先生は眉間にシワを寄せて嫌な顔をしたが、渋々頷いた。いい加減大人なんだから観念して仲良くすればいいのに、こういう所は子供みたいに頑固だ。
保健室を出ると、俄かに職員室付近が賑やかだった。顔がバレると厄介なことに巻き込まれると思ったのだろう、俺たちは全く反対側から遠回りして、国語準備室に向かうことにした。
誰もいない廊下で指を絡めながら歩いた。
ひたひたと来賓用スリッパの音が壁に反射して聞こえる。校内を並んで歩くとか2度と出来ないと思っていたので、心が踊った。誰かに見られるといけないから、指だけでこっそり握る。
「お、熊谷。みんな探していたぞ。生徒指導関係みたいな雰囲気だったけど。誰かが騒ぎを起こしたとか言ってた。そちらは、何年生?ってか誰?」
校舎内は全面禁煙の筈なのに、堂々と室内でタバコを吸いながら、 1人の先生が顔を出した。室内がもくもくしている。
時々先生の会話に登場する国語科の片桐先生と思われた。同期で話も趣味も合うのだそうで、口ぶりからも仲が良さそうだった。
「面倒くさそうだから、今はパス。もう少ししたら顔出すわ。こいつは元教え子。訳あって制服借りてんの。片桐、変な気起こすなよ。」
「始めまして。伊藤と言います。」
片桐先生は先生に釘を刺されて、苦笑いをしている。変な意味に取られてそうだな。あの人は、俺たちの関係を近しい人になればなるほど隠そうとしないから困る。
「どうも。伊藤君。今は高校生じゃないんだろうけど、うちの生徒より着こなしてる気がするよ。ここはみんな勉強が第一だから、やけに落ち着いて冷めてる子が多いんだよね。こう、にへらぁと笑ってくれる子がいるといいんだけど。高校生らしい子が足りない。君は現役生より可愛いね。よしよし。」
頭をくしゃくしゃと撫でられた。
片桐先生は、すごく『高校教師』らしい人だと思った。先生が心を許す人だから裏表のない真っ直ぐな人柄なのかもしれない。
「葵、そいつに触られると妊娠するぞ。血も涙もない冷たい奴だから、あまり話さない方がいい。こっちにおいで。着替えを渡しておくから。」
「初対面の子に余計なこと言うなって。俺の印象が悪くなるじゃないか。」
に、妊娠?って……男だし。子宮無いし。
国語準備室は校舎の1番上階にある。今日は晴れていて外からの眺めは最高だった。思わず窓を解放して外気を吸い込む。ふと、下を見ると暗いジメッとした所に人影を見つけた。
それは、神田君と島田だった。
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