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青春狂走曲15
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(葵語り)
「ええーっ、だったら熊谷先生がいいな……とか思ったけど片桐先生でいいです。すみません……はい。」
神田君が不満を発言し、先生に睨まれて声が尻すぼみになっていった。
先生が守ることになったら、仕事だからしょうがないと思う。だけど……あんまり良い気はしない。先生は俺のものだもん。
あくまで俺は部外者なので、たとえそうなっても反対できる立場ではないのが辛い。
「神田ごめんな。葵がヤキモチを妬くから俺はできないってのは本音だけど、実際問題忙しくて守りきれない。片桐先生は、美化委員と弓道部顧問しかやってないから放課後勉強を教えてもらいながら、時田先生から身を守るといい。何でも相談に乗ってくれるぞ。それに、女子生徒に手を出さないよう見張っててくれないかな。これは1番重要な役割だ。」
「はい。見張ります。やります。やりますっ。やりますー。」
嬉しそうに手を挙げた神田君が飛びついた。
こういうお節介系が好きなんだろうな。
「熊谷。分かったからもう余計なことは言わないで欲しい。俺が神田の面倒見るから。」
「頼んだ。で、これで解決。時田先生にも片桐が責任持って神田を再教育するからって言っとくから、よろしく。」
最初は爽やかな印象だったのに、段々とボロが出てきた片桐先生は、色々決まっていくことに最後は観念していた。あまり人のことは言えないが、女子生徒に手を出すのもどうかと思う。
この2人が放課後にどうやって過ごすか見てみたくなった。
展示時間が過ぎ、撤収時間がやってきた。先生2人と神田君が教室へ戻り、俺と島田は国語準備室で終わるのを待っていた。
後で先生に送ってもらうのだ。結局制服のまま連れて帰ると頑なに言い張るので、俺が折れた。
「ねえ、葵君。1つお願いがあるんだけど。」
「なに?」
窓を解放して夕方の秋の空を眺めていたら、島田が後ろから抱きついてきた。
キュッと力は篭っているが、そんなに強い力ではない。島田は、ことあるごとに抱きついたり触ってくるので、スキンシップは日常化していた。嫌じゃなければそのままにしているし外ではあまりやられない。
先生に見付かったら烈火のごとく怒ってくるけど、俺は別に構わなかった。
それに、彼は先生とは違う種類のいい匂いがする。
「僕にも制服姿を堪能させてくれない?このまましばらく葵君を抱いていたいんだ。」
「ん。いいけど。みんなこの格好が好きだね。数年前は毎日着てたじゃん。」
背中に頬ずりをしているようだった。服越しにむにむにと押し付けられているのが分かる。
「今の葵君が着るからいいの。こんな高校生がいたら堪んないよ。好き。葵君、好きだよ。僕と付き合ってよ。」
「そんな事言ったら彗さんが悲しむよ。冗談でも言ったら駄目だって。」
たしなめるように俺が振り向くと、狙っていたと言わんばかりに島田にキスをされた。
俺より細いくせに、どっから力が湧いてくるのか、強く肩を固定されて舌まで入れてくる。
「ん、んーんー、やめろって。」
咄嗟に島田を突き飛ばす。
「ちぇっ。でもちゅー出来たからいいや。葵君がその気ならいつでも付き合えるからね。僕は葵君が大好きだから。待ってる。」
そう言って島田は腕に絡みついてきた。
先生に見られなくてよかったと思いながら、再び空を見上げる。
そうか、もうすぐ先生と付き合って3年になるんだ。
俺はしみじみと感じながら、肌寒くなってきたので窓を閉めた。
※青春狂走曲はこれで終わりです。
次は片桐先生と神田のその後になります。
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