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放課後レッスン8
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(神田語り)
先生が優しく俺の唇にチュッと触れた。最初はそっと重ねていたものが、次第に舌先でノックをされる様に舐められていく。生温かい先生の心地良さに思わず口を開くと、口内へにゅるっと舌が侵入してきた。決して強引ではなく、呼吸をするように自然な流れで、俺はされるがままになる。
うわぁぁぁ……こんなの知らない。
キスってこんなに気持ちがいいんだ……
手の行き場に困り、側にあった先生のシャツの裾をぎゅっと握った。
俺のファーストキスは、時田先生にのしかかられて身動きが取れず、唾液に塗れた汚い口で無理矢理塞がれたものだった。洗っても歯磨きをしても不快さは数日取れなくて、トラウマにもなった。
比べるものではないが、片桐先生はすっごい上手だ。同じ大人でもここまで違うことに驚いた。経験値の差かな。
段々と深くなっていくキスに息をするタイミングを見失う。酸欠になった俺は、苦しくて自ら顔を離した。
「はぁ、はぁ、はぁ………息が……」
「どうした?そっか、苦しいか。息は鼻でするんだぞ。教えてなかったな。ごめん。」
片桐先生が俺の唾液で濡れた唇で笑った。
その笑顔に心臓が撃ち抜かれたように苦しくなる。余裕な大人ってかっこいいなぁ。
俺、片桐先生が好きだな。
「神田、さっき付き合うのやめたいって言ってたけど、俺はお前と恋人同士になりたい。キスだけじゃなく、もっと違うこともしたいし……」
「…………俺、やめるの、やめます。……もっと違うことって何ですか?」
「お前はまだ知らなくていいから、徐々に色々教えてやるよ。それでは改めてよろしくな、紘斗。」
「………はい。こちらこそお願いします。」
片桐先生がコツンとおでこを重ねて、もう一度口づけをくれた。
名前を呼ばれたせいなのか、胸の奥がきゅんと甘く疼いた。
俺が放心状態で余韻に浸っていると、突然準備室の扉が豪快に開き、にやにやした熊谷先生が立っていた。にやにやを通り越して半笑いになっており、思わず釣られ笑いをしそうな位めちゃくちゃ楽しそうに見えた。
「げっ………熊谷……」
「へえー……片桐先生は事務の牧村さんに嫉妬するんだ。よりによって神田に手を出すとは、見境ないよな。面白いなぁー。俺のことは散々非難しておいて、結局同じ穴のムジナかよ。」
「お前……どこから聞いていたんだよ。」
「どこからって………ペットのくだりからかな。余りに面白くて入るタイミングを失った。お前ら完全に2人の世界で気が付いてねえし。神田、気をつけろよ。本当にこいつは軽いから見張ってないとすぐどっか行くぞ。キスなんて挨拶みたいなもんだし。ああ怖い、怖い。」
「え………本当に?」
熊谷先生の言葉で不安になった俺を見て、目の前の片桐先生が激しく焦りだした。
「ちょっ、お前、いい加減にしろよ。神田……熊谷なんか信用すんなよ。馬鹿野郎。本気にするだろうが。本当にやめてくれ。」
本当かどうかは置いておいて、困っている片桐先生は何だか可愛く見えたのだった。
そして、その後にやっと片桐先生の携帯番号も教えてもらい、LINEも繋がった。
お付き合いは大変なことも多いのだと実感するのは少し先のことだ。今はまだ現状を把握するのがで精一杯で、周りも自分もあまり見えていない。
切なくも甘くもないが、これが俺と春馬先生の始まりだった。
《これで神田は一旦終了です。次からは葵に戻ります。ありがとうございました。》
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