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「ん……」
目を覚ますと見慣れた白い天井と、嗅ぎ慣れた部屋の匂いに自分の部屋じゃないとすぐわかった。
(……またアイツの部屋かよ)
腰や特に尻の痛みを堪えながら起き上がる。
あれ? アイツいない?
部屋に流木の姿はなくて。オレンジ色の間接照明が部屋を照らしていた。
「今何時……」
明らかもう夜。
閉まってるカーテンの隙間からは月明かりが差し込んでいる。
枕元に置かれた自分の携帯を見ると日付けすら変わっていた。
(もう一時過ぎ……)
……てことは、今日日曜日!?
「っ、柏原!」
今日遊ぶ約束していたのと同時に昨日の嘘であってほしい出来事を思い出す。
(ど、どうしようっ)
慌ててラインを開いたものの、何て送ろうか悩んでしまう。
とりあえず謝るしか……。でもアイツが電話であんなこと言うからしづらい! しかも絶対あの状況がバレてそうで。
(きっと、流木と一緒にいるのは……気付いてるよな)
現に、今はコイツの部屋でベッドの中。それに着てる服もまたぶかぶかの黒シャツ一枚だけ。
「……はぁ、もうどうしたらいいんだよっ……」
体育座りで膝に顔を埋める。とりあえず携帯はベッドに放り投げた。
もし、仮に柏原が誰かに言ってたらまたそれが広まって──。
俺の学校生活、本当に終わる……!
そうじゃなくてもアイツによってめちゃくちゃにされてるのにっ。
なんて打ちひしがれていると、部屋のドアが開いた。
「起きてたの。お前」
「!」
学校生活が終わる原因で張本人の魔王が入ってきて、一気に苛立ちが増す。
どうでもいいけど風呂に入っていたらしく、制服じゃなく部屋着だった。ベッドに腰掛けてくるコイツから同じシャンプーの香りがした(最悪!)。
「どうしてくれんだよっ」
「……何が」
何がって!
「さっきの、柏原のこと!」
「……………………………………」
「一生遊べないってなんだよ! 勝手なこと言って、許さないからなっ」
せっかくできた友達なのに。第三者、しかもコイツに壊されるなんて思わなかった。
「あっそ。別に許さなくていい」
「ちょっ……」
近付いてきた顔を慌てて両手で押し返す。
「……何」
何じゃねーよ! 寧ろ俺のセリフだよ、それ!
「こ、こう言うことも、もうすんなっ」
「なんで?」
なんで!?
俺が言うことに一々疑問形で返してくる流木にイラッとしながら、コイツの顔から手を離してまた膝に顔を埋めた。
そのまま、一つ深い深呼吸。
「……お前との関係がわかんない。俺……」
あの日、森で迷った日、コイツの後を追いかけたのは俺。
だけどそれで勝手に下僕にされて、コイツを好きな奴らから誤解された挙句、色々嫌がらせ受けて。終いには……。
「俺じゃなくても、お前としたい奴なんてたくさんいるだろ! なんで、わざわざ俺なんだよっ」
じわりと目が熱くなる気がした。
でも、口は止まらなくてどうせ顔も伏せてるから膝にぐっと目を押し付けた。
「こ、こう言うのっ、付き合ってる人たちがすることじゃん! 俺、お前の性欲処理じゃないからなっ……」
コイツが俺を嫌いなのは知ってる。俺だって大っ嫌いだけど!
……なのに、嫌いなはずなのに香りや低い体温に抱き締められただけでドキドキしてしまう。してる時なんて、もう自分の体じゃないくらい、良くて(死んでも言えないけど)。
その度に顔が無駄にいいからだと毎回言い聞かせる。だって、これ以外に理由なんてあってたまるか。
(もう、これ以上コイツの良いように使われるのも嫌だ)
だからこんな意味のわからない関係なんてさっさと終わりに……そう思ったのに、コイツは懲りずに膝に顔を埋めてる俺の頬にキスしてきた。
「っ! 何す「……じゃない」え?」
「性欲処理なわけねぇだろ。バカ」
「ん、んぅっ……」
顔を上げたのを見計らってか、流木が唇を重ねる寸前そう言ってきて。
舌を絡ませ合う甘いキスにまた思考が止まってしまう。
「ん、ふっ……んん……!」
逃げる俺の舌に絡んでくる分厚くて熱い舌。噛んでやればいいのに、それができないまま口内を犯される。
「ぁっ、は……」
やっと解放されて下を見ると、ぐっしょりと着ていた流木のシャツの裾が濡れていた。
ぅう、最悪……! 良いように使われるの嫌だって思ったばっかなのに。
自己嫌悪に陥ってる俺の耳元にコイツは顔を寄せてきて。
「俺の下僕。それ以下ではねぇよ」
だから安心したら?
なんて言われて、安心できるか! と言い返したのは言うまでもない。
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