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「はぁ……」
生徒会室に衣装を返しに行ってから数日、その時浪江先輩に言われた言葉が頭から離れない。
『たくさんいる、性欲処理の一人だよ』
わかってはいたけど、人から言われるのは自分で思うのとは違って。
(……どっかで違うって思ってた?)
って、なんでだよ! 嫌いなヤツなのに。
「おかしいだろ……」
アイツが可愛いとか俺の、とか気持ち悪いことばっか言うから頭がマヒしてるんだ。きっと!
じゃなかったら腹たって終わりだった。……前までは。
「……はぁあ、」
スッキリしない、モヤモヤした気持ちのまま机にうつ伏せになる。
そんな時、ちょうど携帯が鳴った。
(ライン? 誰だろ)
「げっ」
携帯を見ると画面には流木の文字。
最悪のタイミング!
そう思いながらもラインを開くと、〈明日忘れんなよ〉の一言だけ。
「……明日」
──土曜日。
今週は桜姫祭りが終わってから初めて会う。きっと、あの噂は流木の耳にも入ってるはず。そう思うと行く気が尚更なくなる。のに、
心臓はなぜかドキドキと音を立ててしまう。
(俺じゃなくてもいいくせに……)
って、だからなんでそんな言い方になるんだよっ。
心の中で自分にツッコミをいれながら葛藤していると、人影が見えた。
「あ、未月くん」
「早瀬?」
そこにいたのは同じクラスの早瀬で。
「どうしたんだよ」
初めて話しかけられたかも。
「今大丈夫? 山本くんって……」
「アイツなら体育館でバスケしてると思うけど」
「そっか。ここ、座ってもいい?」
「え、あ、うん」
一瞬山本に用かと思ったけど違ったらしく、前の山本の席に座る早瀬。
(な、なんだろ……)
変な緊張感の中、もう一度要件を聞こうとしたら早瀬の方が俺を見てきて。
「未月くんて、流木先輩と付き合ってるのっ?」
「えっ……」
今にも泣きそうな顔でそう聞かれた。
そう言えば、まだ誤解解けないままでいた!
未だにクラスの奴らや緋結たちは信じてくれないし。
「付き合ってない! 桜姫祭りのことならたまたま一緒に出ただけでっ……」
「そうなの……?」
「うん、そう!! だからアイツとは関係ないんだっ」
マジで! とここぞとばかりに否定する。
「そうだったんだ。よかったぁ」
(よかった?)
ほっと安心した表情でそう言葉を零す早瀬になぜか胸がザワつく。
「実はね、僕流木先輩のことが好きで……。何度か、相手してもらった事もあるんだけど、未月くんと桜姫祭り出てたから不安になっちゃって……」
(好き……)
その一言にドクンと心臓が嫌な音を立てる。
それに、気になる言い方に俺は無意識に疑問をぶつけていた。
「あ、相手って、」
流木からきたラインを見た時とは違う心臓の音。
聞かない方がいいって、頭の中で声がした。
「えっとね、言うの恥ずかしいんだけど……。えっち、の」
顔を赤くしながら小さい声で言う早瀬に俺は浪江先輩に言われたことの理由を、改めて知る羽目になる。
(……そうだよ、アイツだって言ってたじゃんか。下僕だって)
きっと俺は、性欲処理なんかよりずっと下に見られてた。
なのに、アイツが言う言葉なんかに──。
「未月くん?」
「! あ、ご、ごめんっ。じゃあ告白とかすんの?」
声をかけられてはっとしたまま、そう聞いていた。
「うん。それで、未月くんに協力してもらいたくて」
「協力……」
そもそも嫌われてる。だから下僕扱いで、いいように使われて。
あのときからお互い嫌いだった。なら悩む必要もこんなモヤモヤすることもない。早瀬がアイツを好きで、そういうことをしてても、俺には何の関係もない。
寧ろ二人が付き合ったら下僕からも解放される。
(俺にとったら万々歳じゃん)
──なのに。
『……可愛い』
『俺の、』
アイツの言葉を思い出すと、胸が苦しくなる、気がした。
「ダメ? やっぱり未月くんも流木先輩のこと「それはない!」」
また誤解されそうになって慌てて遮る。
「だ、ダメじゃないけど! なんで俺かなってっ……」
ぁあ、何ダメじゃないとか言ってんだよ。俺のバカ!
自己嫌悪に陥る俺に早瀬は気付くはずもなく。
「だって、流木先輩と仲良さそうだから」
ちょ………………っとまって。
「え、どこが?」
真顔で即返ししたのは言うまでもない。
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