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あれから結局眠れずもう朝。
とりあえず着替えだけは済ませた。
はぁ…
ヤバいな、この痕…
寮のベッドに腰掛けて手鏡でアイツが付けた痕を指でなぞった。
吸血鬼に噛まれような赤い痕が点々と首筋にかけてある。
「…制服で隠れるかな」
てか隠さないとヤバい!
そう思いながらアイツがくれたカボチャの置物を手にした。
…やっぱ可愛い。
なんでこんな気に入ってるのか、自分でもよく分からない。
「…?なんか入ってる?」
少し傾けたらカランと音がした。
でも開ける場所なさそう。
「…あ」
トンガリ帽子を軽く上に上げたら、ぱかっと外れた。
中を見るとキャンディが三個。
え、なんで…
考えていると、ガチャッとドアが開く音がして緋結が帰ってきた。
「ただいま〜」
「あ、おかえり!」
トンガリ帽子を被せてベッドに置く。
慌てて痕も服で隠した。
「悠季くん帰って来てたんだね!昨日れいちゃんと姿消したから心配してたんだよ?」
「ご、ごめん!心配かけてっ…」
真向かいにある自分のベッドに腰掛ける緋結。
やっぱアイツといたことになってんのか…
「全然いいよ。それより、れいちゃんと何かあった?」
な、何かって!
何故かキラキラした目で聞いてくる緋結に少なからず動揺してしまう。
「あるわけないだろ!ただ、他の人に絡まれてるの助けてくれただけだよっ…」
「れいちゃんが助けてくれたの!?」
あからさまに驚いた声を上げる緋結に頷く。
「へぇ、れいちゃんが…」
「そんな驚くこと?」
「んー、今まで他人に関わるの見たことなかったから。普通だったら絶対無視してたもん!元々面倒くさがりだし、冷たいし」
…確かに。
よく考えたら無視してそう。
でもそれって俺が下僕だからか…
実際アイツ言ってたし。
さすがにそれは緋結に言えないけど。
「その後は冷めてたよ」
適当に誤魔化すと緋結の視線が俺の脇へ移動した。
「あ、可愛い!」
「カボチャ?」
「うん!どうしたの?黒のトンガリ帽子って悠季くんの仮装に似てるねっ」
「え、えーと…」
何て言えばいいんだ!
まさかアイツから貰ったなんて言えないし、ぐるぐると悩んでいたら緋結が思い出したように口にした。
「そういえば、れいちゃんも似たようなの持ってたなー。授業で作ったって言ってたんだけどね」
「へ、へぇ…」
それがこれですとは冗談でも言えなかった。
「じゃあ、伊咲先輩も何か作ったんだ」
話を逸らすために話題を変えてみる。
とりあえずバレないようにしないと…!
「うん!黒猫さんのぬいぐるみっ」
そう言って取り出したのは掌サイズの緋結の仮装と似た様な作りのものだった。
「可愛いね」
…つか、器用!
すごい。
「ふふ、僕の仮装と同じ衣装なの!」
だからか、似てるの。
「良かったな」
嬉しそうに笑う緋結が可愛くて、愛されてるなぁってしみじみと思った。
…ちょっと羨ましい。
「実は裏話があってね?恋人がいる人はもちろんだけど、片思いしてる時は好きな子が仮装する衣装調べて自分が作るお菓子か作り物の一部分に入れるんだよ」
「…へぇ。おまじないみたいな?」
「うん。で、プラス付き合ってる相手にはチョコ三個に片思いしてる人は相手にキャンディを三個あげるんだって!」
ふーん…
………って、えぇ!?
「それ本当!?」
「ほんとだよー。一年の子はまだ知らない子いるかもだけど、二、三年生は大体知ってると思うし…。可愛いよね、そーいうの!だからハロウィンきっかけに付き合ってる人達多いんだよ」
知らなかった…!
つか、じゃあ、…どーいう事!?
「あ、眞尋先輩から電話だ!ちょっと話してくるね」
そう言って部屋を出る緋結。
残された俺は一人、パニくっていた…
俺がその答えを知る事になるのは、まだ先の話。
おわり
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