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巻き込まされ症
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「ぁああー……」
あれから数日、俺のテンションは下がりきったまま。あの日以来アイツと会う事もなくて良いんだけど。された事やした事が脳に焼き付いてて辛い。
(早く忘れたいのにっ)
でも、下僕も全部なかった事になったからこれでやっと自由の身。そこはすげぇ嬉しい!
「未月くん?」
「……菜由」
机にうつ伏せになっていた顔を上げたら菜由がいた。
ヤバい、この前の風呂場での光景が……! 慌てて頭を振って消し去る。
「どうしたの?」
「いや、なんでも! お前こそ何か用?」
菜由に振って話を逸らす。
「あ、うん、今大丈夫? 緋結ちゃんて……」
「アイツなら先輩の所。俺は大丈夫」
「そっか! じゃあちょっとごめんね」
そう言って前の緋悠の席に座ると、俺に顔を近付けてきた。
「あれから、流木先輩とはどうなの?」
あぁ、その話題か……。聞きたくなかった名前だけどもう関係ないからな!
「ありがたいことになんとも! 下僕とかも冗談だったみたいでさ」
説明すんのも面倒だし、と言うか言いたくない内容ばっかだったから俺は笑って誤魔化した。
「そうなの? でも日曜日の日、流木先輩とバイクで出掛けたって……」
「なんで知ってんの!?」
あの日、誰にも会わなかったのに!
ガタッと立ち上がって俺は菜由に詰め寄る。
「み、未月くん」
「あっ……」
そうしたら菜由が周りを見て、クラスの視線を集めてる事に気付き俺は席に座り直す。
(いや、もう発狂したい気分なんだけどっ)
「実はね、未月くんと流木先輩がバイク乗って出ていくの流木先輩のファンの子が見ちゃったらしくて……」
……ズガーン。笑えない、笑えなさすぎる展開!
「しかも流木先輩の部屋に泊まってたって噂が広まってるんだよ」
広まっちゃったのかよ! なんで胸に留めておかなかったんだよ!
「嘘だろー……」
机に伏して俺は信じたくない事実に耳を塞ぎたくなった。
「じゃあ、それって本当なの?」
「………………うん」
突っ伏したまま俺はその質問に頷く。
「そうだったんだ! うわぁ、おめでとう!」
え、何が!? 今の俺の状況でどこがめでたいの!? しかもなんで喜んでるんだよ!
「全っっ然おめでとうじゃないし!」
「なんで? 流木先輩と付き合ってるんでしょ? 噂聞いてから緋結ちゃんもそう思ってるよ」
はぁ!? なんでそうなるっ。
「違う! そんなわけあるかよ! 俺はただっ……」
そこまで言って携帯が鳴った。
「未月くんの?」
「あ、うん。マナーにすんの忘れて、た……」
ブレザーのポッケから携帯を取り出してメールを開く。
「どうしたの? 未月くん」
「あ、いやっ! なんでもないっ」
画面を見て止まる俺に菜由が声をかけてきて、慌てて携帯をポッケにしまう。
「そう言えばさっきの話、」
え、その話まだすんの!? と思った時。
「未月悠季いますか?」
……誰?
名前を呼ばれてドアの方に目を向けると知らない生徒が立っていた。
「あの人……」
「菜由知ってるの?」
「うん。三年の、亜宮先輩だよ」
三年? 俺全く知らない先輩だけど……。そもそも部活も委員会も入ってないから二、三年との関わりなんて全くない。どっかで会ったっけ、と考えている俺に菜由は言った。
「……流木先輩の、元恋人」
はい?
「え、えぇえぇええ!?」
恋人!?
「だってアイツ特定のヤツ作らないんじゃっ」
「俺もよく分からないけど亜宮先輩は……」
「君? 未月悠季って」
「え、あ……はい」
騒いでたからバレたのか、いつの間にか亜宮って人が俺たちの所まで来ていた。
小柄で少しウェーブがかかった明るい髪。プラスして女みたいな顔立ちにデカい目。
「ちょっと話があるんだけど来て」
え、俺に拒否る権利なし!? 聞かれもしなかったし!
仕方なく俺は席から立ち上がると慌ててその背中を追いかけた。
「未月くん、気をつけてね……」
「?」
小さく聞こえた菜由の声に疑問を持ちながら教室を出た。
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