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「大っ嫌いだ、あんな奴!」
階段を駆け下りながらもう一層のこと、このまま走って帰ろうかなと思う勢いで足を動かす。
一階に辿り着いて角を曲がろうとした時、ドンっと何かにぶつかった。
「いっ……」
「わっ」
ぶつかった拍子に走っていた勢いもあって、思いっきり尻もちをついてしまう。
(たたっ……)
「すいませんっ、大丈夫ですか!?」
「……はい。俺こそすいませ、って、菜野先生?」
顔を上げるとそこにいたのは菜野先生だった。
「良かった……。今部屋に行こうとしてたんです。僕、未月くんに謝らなきゃいけないことが、って泣くほど痛かったですか!?」
「ち、違いますっ」
菜野先生に言われて、慌てて首を横に振る。
「それより、可愛いコが見えてるわよ。未月くん」
「千倉先生!」
って、可愛いコ?
菜野先生の背後から来たのは千倉先生で。その視線の先は尻もちをついた、足が左右に開いた俺の下半身に向けられていて──。
「!? うわぁっ」
そうだ、俺何も穿かずに飛び出してきちゃったんだ!
はっとして両足を閉じる。捲りあがってたシャツの裾を、さっき菜野先生に見られた時より目一杯引っ張って隠した。
「……貴方、ほんとに幼児体型なのね」
「え?」
千倉先生が何か言った気がしたけど聞き取れなくて。
「何でもないわ。その格好じゃなんだから、保健室来なさい。ちょうど話したいこともあるから」
「あ、はい」
話ってなんだろと思いながら立ち上がる。
「……すいません、未月くん」
「そんな、俺の方こそ前見てなかったから」
「いえ、そっちじゃなくて……」
「?」
また謝ってくる菜野先生に不思議になりながら千倉先生の後を追った。
寮の一階にある保健室に着くと、テーブルを挟んで向かい合うように先生たちと座る。
「とりあえず、これ穿いてなさい」
「ありがとうございます」
棚の引き出しから体操着のジャージを取り出してきた千倉先生。手渡されて、それを穿いた。
(パンツ穿いてないから変な感じ……)
直に感じる生地のゴワゴワ感。まぁ、穿いてないよりかは全然マシだけど。
穿き終わってからまた椅子に座ると、目の前の菜野先生が頭を下げてきて。
「本当すいません……!」
「さ、菜野先生っ」
何度目かの謝罪にさすがに慌てる。そんな様子を見ていた千倉先生が、コーヒーとお茶を乗せたトレーを持って、椅子に座ってきた。
「謝ってるばかりじゃ、未月くんも困るでしょ」
「そ、そうですよね……」
「何かあったんですか?」
さっきの菜野先生から聞いた話もあって、変な緊張感が襲ってくる。
(でも、あれ以上の話ではないよな。さすがに)
「私から話すわ。貴方が、亜宮くんに呼び出された日のこと」
「!」
やっぱりそれ絡みの話かよっ。
「は、はい……」
俺が頷くと、一口、コーヒーを飲んだ千倉先生が〈あの日〉のことを話し始めた。
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