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「んっ、美味い!」
結局手を繋ぎながら回る羽目になり(屋台巡ってる内に繋いでること自体忘れたけど)、今はわたあめを買い終わって人通り外れた所でベビーカステラを食べていた。
「……俺も一個」
「あっ」
ピカ〇ュウの形をしたカステラを口に入れようとした時、手首を掴まれて流木の口に食べられてしまった。
(またとられた!)
パイン同様にコイツに食われて、すかさず手を振り払う。
「何すんだよ!」
ばっとベビーカステラの袋を抱き抱えて背を向けるとなぜか息を吐かれた。
「食い意地張りすぎ。また太るぜ」
「っ、つまむな!」
「いいから、食わせろ。悠季」
腹を摘まれたと思ったら、今度は背後から抱きつかれる。
(お、重い!)
「もう離せってばっ……」
そもそもコイツの金ってことも忘れて全力で拒否する。
大体、甘いの苦手なんじゃなかったのかよ!
「悠季、」
「ひっ……耳噛むな、バカっ」
「──何してるの? 悠季くんとれいちゃん……」
へ?
ガヤガヤと賑わう中、俺とコイツを呼ぶ声がして。そっちを向くと緋結と伊咲先輩がいた。
そこで重要なことを思い出す。
(そうだ、緋結たちと来てたの忘れてた!!)
「ごめ「なんで抱き合ってるの!?」は!?」
いきなりそう行って近付いてくる緋結に、背後にいた流木が舌打ちをして俺から離れた。
「緋結、何言ってっ……」
「やっぱりれいちゃんと付き合ってるんじゃ「なんでそうなるんだよ!」」
俺の肩を掴んで問い詰めてくる緋結に、今度は俺が遮る。
「そんな訳ないだろ! コイツが俺のカステラとろうとするから……!」
「……カステラ?」
そう言ったら肩から手を離してじっと俺たちを見てくる緋結と伊咲先輩。
(こ、今度はなんだ……)
「へぇ……。おめんにわたあめ、それにお菓子、かな? 随分と楽しんでるみたいだね。それじゃ、はぐれた事にも気付かないよね」
「え、えっと……!」
目が据わってる伊咲先輩に変な汗が出てくる。
(なんか、笑ってるけどすげぇ怖い!)
「もうっ、僕たちすごい探してたんだよ! 電話しても二人とも出ないんだから」
「あ……ごめん、携帯忘れて……。あはは……」
言いながら俺ははっとした。
俺は車に忘れたけど、コイツは持ってるじゃん!
「お前、携た「あれ? 鈴汰と緋結じゃない?」」
……え?
流木に振り返った時、今度は女の人の声が聞こえてきた。
そっちに目をやると可愛く浴衣を着こなした女子が四人くらい立っていて。俺たちの方に駆け寄ってきた。
「やっぱり鈴汰と緋結じゃん! 久しぶりだねっ」
「っ……」
流木の腕に抱きついてきた人とドンッと肩がぶつかって、足がよろけてしまう。
「そのおめんどうしたの? 可愛い♡」
「北御(きたみ)……」
可愛い女子に抱きつかれて普通だったら嬉しいはずなのに、コイツの声は今日一の低音ボイスだった。
(さっきの伊咲先輩より怖……。まだ先輩は笑顔だったもんな。いや、それが怖かったんだけど)
「わぁ、ほんと久しぶりだね! みんなも来てたの?」
「そうだよ。卒業してから初だね、会うの」
てことは中学の同級生?
そう思いながらマジマジとその四人を見てしまう。
(お、大人っぽい……!)
ギャル系? なのかな。みんな可愛いし、キレイ。すごくいい香りもする。
「緋結の友達?」
「うん、中学一緒だったの!」
「そっか。初めまして、伊咲眞尋です」
伊咲先輩が自己紹介すると黄色い歓声が起きた。
「えー、めっちゃカッコいいじゃん! タメ……には見えないけど、もしかして先輩?」
「そうだよ。僕の彼氏なんだから♡」
「!?」
そう言って、ぎゅっと伊咲先輩に抱きつく緋結。
持っていたベビーカステラの袋を落としたのは、言うまでもなかった(しかも逆さ)。
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