アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
7
-
「あははっ、それでねー……」
「……………………………………」
隣から聞こえてくる楽しそうな声の中、俺は一人お好み焼きを食べていた。
(はぁ、なんでこんなことに……!)
緋結と流木の同級生と再会後、一緒に行動することになって。
北御さん? って人の知り合いがやってる屋台でお好み焼きや焼きそばを買って、花火会場の土手に来ていた。
チラリと隣を見ると、緋結と伊咲先輩を中心に恋愛話的な話をしている。と言うか、質問攻め?
「まさか緋結に彼氏できたなんてほんとびっくり!」
「しかもカッコいいし!」
「いつから付き合ってるの?」
「…………………………」
(うま……。お好み焼き)
それにしても、男同士で付き合ってももう当たり前に受け入れられるんだな。ニュースでもジェンダーって取り上げられてるくらいだからか。
北桜が男子校だから、そこでは当たり前なんだなって思ってた。
男女関係なくって、いいことなんだろうけど。
(……俺はないな! アイツとしたことだって、全部悪夢だったんだ)
あれ以来そう思い込むことにしている。
「ねぇ、花火見終わったら久しぶりに遊ばない? 花火買ってあるからみんなでしよーよ」
「うん、したい! 眞尋先輩いい?」
「いいよ」
(え!?)
そんな会話が聞こえてきて、お好み焼きを食べる手が止まってしまう。
いや、でも俺は誘われないよな……。さすがに──、
「悠季くんも一緒に行こうよ!」
って、緋結からかよ!
緋結の言葉にみんなの視線が向けられる。ただ、一人を除いて。
「え、えっと……俺は、終わったら父さんが迎えに来るから……ごめん」
「そっかぁ。残念。じゃあまた今度一緒にしようねっ」
「……うん」
なんだろう、すごく気まずい!
視線や空気が『断わんの?』みたいな感じに俯くしかなかった。
忘れていた足の痛みも、一気にズキズキと痛み始める。
でもこれで俺にはもう話しかけてこないだろと思って、止まっていた箸を動かそうとした。
「悠季くん、門限とかあるの?」
「! あ、はい」
話しかけてきたのは流木の隣に座っている北御さんで。変に緊張してしまった挙句、即答で頷いてしまう。
まぁ、門限があるのは本当なんだけど。ちなみに二十一時。
「偉いね。ちゃんと守ってるんだ」
「そんな……」
「ふふ、補導されそうだもんね。その格好じゃ」
そう言って笑う北御さんに、周りの友達もクスクスと声を零す。
(俺だって、好きでこんな浴衣着てるわけじゃない……)
言われたことが悔しくて、ぐっと唇を噛み締める。
「悠季くん、そんなことな「トイレ」」
緋結が口を開いたと同時くらいに流木がそれだけ言って立ち上がる。
「え、もう花火始まるよ? 鈴汰」
隣にいた北御さんの言葉を無視して、食べかけ(いや、全く食べてない?)焼きそばを袋に入れると俺が持っていたお好み焼きも同様に袋へ入れた。
「な、何……」
「来いよ」
え!?
「うわっ」
腕を掴まれて、無理矢理立たせられるとそのまま引っ張られて。
「れいちゃん!?」
「鈴汰、どこ行くの!」
背後から聞こえてきた緋結と北御さんの声に振り返ることもなく、その場を後にする羽目になった。
「どうしたんだろ。れいちゃん……」
「ふふ、面白いね」
「?」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
80 / 236