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「はぁ……」
(五限、休んだはずなのに……)
全く疲れなんて取れず。俺は戻ってきた千倉先生にお礼を言って、早々に保健室を後にした。
あんなことした罪悪感から、先生の顔を見れなくて変な奴状態になってしまった気がする。
幸い、シーツや布団には付いてなかったからよかったけど(ズボンもギリ染みなかった)。
でもパンツの中は気持ち悪い……。さっきトイレ寄ってペーパーで拭いたからまだマシにはなった。
(これじゃ、俺も保健室立ち入り禁止になりそう……)
とりあえず暫くは行くのやめよ。
「あっ、悠季くん!」
教室に入ると緋結に名前を呼ばれて。そっちを向くと体操着姿だった。
「具合大丈夫?」
「え、あっ、うん!」
「そっか。良かったぁ」
「山本くんから聞いて心配してたんだよ」
俺が頷くと安心した表情を浮かべる緋結と菜由。
(優しい、ほんと……)
なのに俺はあんなこと……!
「心配かけてごめん……」
数十分前のことを思い出しそうになって、慌てて脳内から消し去る。
「ううん! 次の体育出れそう?」
あ、だから体操着か。
「出れるっ。今着替えるからちょっと待ってて!」
教室の時計を見たらあと五分くらいで。自分の席に行ってシャツを脱ぐ。
まだ腰や体は痛いけど動いてた方が絶対気が紛れる。
(じっとしてた方が思い出しそうだもんな……。色々余計なことを)
「山本くんは先行くって言って……!?」
「え、悠季くん……それ……」
「? どうしたんだよ」
俺がシャツを脱ぐと、目の前の二人が固まったまま俺の上半身裸の体を見てくる。
(え、な、なに!?)
目を丸くして見てくる二人の視線に恥ずかしくなって、脱いだシャツで前を隠す。
「その痕、キスマークだよね!?」
「っ、は!?」
そんな俺の肩をガっと掴んで、固まっていた緋結がそう聞いてきた。
「き、きすまーく?」
意味が分からずその言葉を繰り返すと、今度は菜由が口を開く。なぜか顔を赤らめて。
「すごいね……。未月くん、やっぱり彼氏いたの?」
は? 彼氏!?
「いるわけないだろ! てか、何のことだよっ」
二人に背を向けて、体操着袋から半袖シャツを取り出していそいそと頭から被る。
「わ、背中にも!」
背後からそんな声が聞こえる中、ズボンを脱いで短パンに穿き変える。その途中、下着可愛いねと聞こえたけど返す余裕なんてなかった。
……次に発された、緋結の言葉によって。
「その赤い痕だよ。もう、彼氏いるなら言ってよ! 水くさいなぁっ」
赤い痕……?
その一言に緋結たちに振り返る。
鎖骨や胸元、腹にまで当たり前のように付いていた赤い痕は自分でもわかっていたけど。
嫌な予感しか、〈また〉しないのは何でなんだろうか。
「こ、これダニのせいで「じゃあ、痒いの?」」
(…………かゆくない……!)
真顔で緋結に聞かれて今度は俺が固まってしまう。
そこでやっと気付かされた。
もしかして、アイツじゃ……!!
今、走馬灯のように思い返すとすげぇ人の体に吸い付いていたのを思い出す。
昨日までの三日間もそうだけど、その前からずっと。
「……あのクソ魔王!」
「あっ、悠季くん!?」
「どこ行くのっ?」
二人の声すら耳に入らず、俺は教室を飛び出していた。
「未月くん、行っちゃった……」
「魔王って誰だろ? て言うか、絶対彼氏だよね!?」
「う、うん。もしかして……」
「?」
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