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私(16)
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ユリオには多少の教養はあるのだろうと思っていましたが、それは、思い違いでした。
なんと、読み書きも容易に出来るのです。
作法もそれなりに知っているようですし、物覚えも実に良いのです。
多少どころではありません。
下手をすれば、私よりも育ちが良いのかも知れません。
そうなると、何故、あの様な形で先生に拾われたのか、何故、元の名前がわからないのか、益々気になってしまいます。
ユリオが来てから、一月が経ちますが、本人にはもちろん、先生にもその経緯は聞けずにおりました。
相変わらず、ユリオの口数は少ないです。
それでも、思った程、陰気な雰囲気は出しておりませんでした。
よく笑うし、手が空けば私に話をしてくれとせがみます。
私は、物書きではありません。
正直に申し上げますと、先生の処へ居るからと言って、特に物書きを目指している訳ではありません。
創作話をしてやる事ができない代わりに、自分の事や身内の面白い話などをしてやりました。
ユリオは時にはコロコロと笑い、時には涙を浮かべながら私の話を真に聞いておりました。
私は話上手とは言えませんが、聞き手が良いせいか、とてもいい気分になるのでした。
気付けば、何か作業をしている最中でも、ユリオに語るための思い出を探っている様な有様です。
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