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私(28)
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「仰っている意味がわかりません。抱くとは抱くと言う事でしょうか。」
回答に窮するあまり、私は思ったことをそのまま口にしてしまいました。
最早言葉になってすらなっていません。
自分でも何を言っているのかわからないのですが、先生には、私の混乱も含め、きちんと伝わったようです。
「そうだよ。」
未だ、こちらを見もせず、先生はなんともない事の様に仰います。
私は益々訳がわかりませんでした。
私は暫し熟考しました。
先生のお気持ちを探ろうとする事は当の昔に諦めておりますが、今回ばかりは、言葉の意味が理解できないのです。
「あの…大切と言うのが、愛してると言う意味ならば、それは、違います。」
「なぜ。」
「私も男。ユリオも男だからです。」
なんとか絞しだした答えだろうと、先生に一蹴される事はわかっていました。
しかし、今回ばかりは私の方が正しい気がします。
おかしな話です。
私の言葉通り、男同士で抱くだの抱かれるだの…
確かに、中にはそう言う趣向の者も居るかも知れません。
それでも、私に限っては―女性には縁がありませんでしたが―男色家と言うわけではないのです。
「それを気にしているのは、君だけだよ。」
背中越しでも、先生が笑っている事がわかります。
まるで、私の心を読んでいるかの様で不気味でした。
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