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私(32)
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先生は既に縁側に出ておられました。
私は身の置き場を逡巡した後、諦めに似た気分で傍に腰掛けます。
「酒は、ユリオが用意してくれてます。」
先生は「そうか」とだけ言うと、後は黙って煙草をふかしておりました。
暫くすると、ユリオが酒と糠味噌漬けを盆に載せて現れました。
私は黙って、先生と自分の酒をついでから、ユリオにも飲むかと聞きました。
小さく頷いたので、ユリオにも酒をついでやりました。
今夜は月がよく見えます。
確かにあの夜に似ているかも知れません。
少しの間、言葉も交わさずに、私たちは酒を舐めました。
「ユリオ。少しは慣れたかい。」
思い出したように、先生が口を開きました。
ユリオは、少し間を置いてから「はい。」と答えました。
ユリオが来てから、三月程経とうとしていますが、まだ先生の前では、ユリオは少し硬くなっている様な気がします。
ユリオが来た当初、よく先生は彼を伴って出かけておりました。
どこへ行っていたのかは、ユリオも言葉を濁すばかりでした。
もしや、私の知らない処で、二人は既に体の関係を持っているのではないかと言う考えが頭に浮かびます。
思えば、先生の歳―明確な年齢は知りませんが―で結婚をしていないなど、珍しい話です。
今まで、考えたこともありませんでしたが、先生こそ実は男色家なのではないでしょうか。
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