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神代
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「白澤君、久しぶり。今日は一体どうしたんだい?」
「最近あの朴念仁うちの店来なくなったから、何かあったのかと思って栄養剤の支給がてら見に来てみたんだけど…」
「……閻魔大王、もう仕方ないわ。」
お香が諦めたように閻魔に呟く。
白澤は何の事か分からずきょとん顔である。
「え、何?どうしたの?」
「……白澤君、しっかり聞いてもらいたい。」
「?、はい」
閻魔は腹を括ったようで、軽く咳払いをする。
ここにいる白澤以外は真剣な表情だが、事の重大さが全く分からない当の本人は間の抜けた阿呆面だ。
「………鬼灯君が、妊娠した。」
「…は?」
「子供を身篭っているんだ。
もう八週目でね、今悪阻がピークの時期なんだ。」
閻魔はまだ続けようとしたが白澤がそれを制する。
「それ、本当?」
「無論。」
「……誰の子供?」
激しい殺気と神気が白澤から溢れる。
そのあまりの恐ろしさに冷や汗を流し一同息を飲んだ。
「君しか有り得ないだろう、白澤くん」
「は?」
またしても素っ頓狂な声を発した白澤に閻魔は畳み掛ける。
「君も知ってるとは思うが男が孕むなんて自然の摂理に反する事を普通の奴が出来るわけないんだ。
鬼灯くんの体内には子宮が存在していた。それは神の所業故に、身体を作り替える事が出来た。そう考えるのが合理的だね?」
「…そうだね。」
「しかし一部とはいえ身体を作り替えるには長い時間と、強力な神気を必要とする。違うかい?」
「その通りだよ」
「ならば、千年かけて、君が唯一無二の神獣・白澤の神気を鬼灯くんに与え続けていた為に身体が作り替えられてしまった。と考えるのが妥当だとは思わないのかい?」
「……そう、か」
閻魔は少し俯き何とも言えぬ表情になった白澤の肩を叩く。
「理解出来たならその殺気を仕舞ってくれるかい?みんなが恐がって仕方ないよ」
「あっ」
忘れていた、とでも言う様に白澤はすぐ殺気を消し普段の表情に戻る。
後ろからはみんなの安堵の息が聞こえた。
「男の妊娠にも事例があると聞いたが…白澤くんは知っているかい?」
「勿論。でもあれは神同士。それも神代にまで遡る話だよ。あんなのはあって無かったようなものだから、期待しない方がいい…」
「だがワシらは全てを把握してるわけじゃない。今は事実を鵜呑みにする以外出来ないのが現状だからなぁ」
白澤は眉間に皺を寄せた。お香がいる前だが滅多にない苦虫を噛み潰したような渋い顔を見せる。
「それに実は鬼灯君は今食事がまともに取れない状況でね、水分も摂取出来ていないんだ、もう五日も。
誰ともコミュニケーションが取れないし、全く寝ていないようで体力の消耗が酷い。
白澤くんなら、と思ったんだ」
閻魔の真剣な眼差しに、白澤は「分かった。」と呟くと鬼灯の部屋の入り口に立ち扉をノックする。
「……中入るよ」
白澤は鬼灯の部屋に入った。
この時閻魔は、白澤の後の行動を全く予想してなかったのである。
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