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温かな体温に包まれて
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「んん……」
もぞもぞと身体を擦り寄せ、祐也は凪の身体を引き寄せた。
「…っ」
さらにきつく抱き締められてしまった身体は、もうほどけそうにもなく凪は観念するかのように小さく溜息を零すと、背中に感じる熱に身を委ねた。
なんだか昔の祐也を思い出してしまってドキドキを通り越して懐かしい気持ちになる。
あの頃の祐也は純粋無垢で可愛かった。
小さいときから女の子にモテていたし、天使のような容姿はそれはそれは大人にも愛されていた。
それに比べて自分は人見知りが激しく、いつも母親の後ろに隠れていることが多かったように思う。
まぁ極端に言えば、正反対なのだが、何故だかよく気が合っていたのだ。
気が付けばずっと一緒にいたし、唯一、心を開ける親友をこれからも大事にしたいと後ろの熱により、強くそう思えた。
そんなことを考えていたら、祐也のキスなんてその延長のような気がしてきた。
気持ちよさそうな寝息を聞きながら、再び重くなっていく瞼に、逆らうことなくゆっくりと目を閉じたのだった。
_________……
「凪。…おい、起きろってば」
肩を揺すられ、目を覚ました凪だったが状況を把握することが出来ず、目の前の祐也にクエスチョンマークをつけて首を傾げた。
何で祐也がいるんだ…?
鉛のように重たい瞼を擦り身体を起こす。
「やっと起きやがった。急げ、凪」
「…ん…なんで祐也いんの」
「はぁ?…まだ寝ぼけてんのか。いい加減起きねーと学校遅刻すんぞ」
「…学校…」
「今日は確か歴史社会学だったろ。渡辺、遅刻にうるせーから早く出るぞ。…ほら、顔洗ってこい」
「…ん」
凪は祐也に腕を伸ばし立たせて、と催促する。
祐也の大きな溜息が聞こえてくるも、世話の焼けるやつだな、と呟かれ、凪の脇に手をかけるとそのまま持ち上げられた。
床に立った凪の頭をくしゃ、と撫でられる。
「おはようさん」
朝日と同じ、眩しい笑みを向けられ、うっ。となる。
「…おはよ」
凪はその眩しい笑みから目を逸らし、欠伸をしながらそう答えた。
「…ほら、急ぐぞ」
急かすように背中を押され、洗面台に連れて行かれる。
凪は、まだ眠たい目に喝を入れるよう、冬の真水を顔に浴びせたのだった。
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