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放っておいて欲しいのに 1
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斎がこっちに向かって歩いてくると、そこらの芸能人よりも綺麗な顔をしている斎に女の子達は興味津々といったところだろう、歩いていく先にいる凪を見つめてくる。
―――なんでこんなとこに来るんだよ。めちゃくちゃ目立ってんじゃねーか…
人の視線に居心地の悪さを感じ、シャツの裾を握り締めた。
今日の斎は細身のグレーのスーツを着ていて、羨ましいほど長い脚がより際立って見える。
斎が目の前に立ち、凪、と呼んだ。
近くで見る斎の顔は相変わらずすごく綺麗で、鋭い瞳が自分に向けられていると思うと嬉しくて心が跳ね上がりそうになる。
昨日も見たのに、久々に会ったような感覚だ。
凪は、そのヘーゼル色の瞳にのまれてしまいそうで、ぱ、と目を逸らすと口を開いた。
「…なんか用?」
素っ気ない態度でそう答える。
自分でそんな態度をとったくせにずき、と胸が軋んだ。
「なぜ連絡をよこさない?」
斎の冷淡とした声に心臓が早まる。
「…自分の胸に手ぇ当てて考えろ」
―――俺は悪くない、お前のせいだろ。
斎が無言になり、しばらくすると頭の上で溜息が聞こえた。
その溜息にずき、と胸が痛む。
「昨日のことか?あれは謝っただろう」
「…ふーん、あれでねぇ。大体、謝る以前の問題だし」
つん、と言い放つと、またもや斎の口から深い溜息が零れた。
その溜息に凪は沸々と苛立ちが奥から込み上がり、ムッ、とする。
「……ここじゃ落ち着いて話せないな。凪、車に乗れ」
斎のその言い方にもイラ、として無反応を示した。
「凪。行くぞ」
「嫌だ」
「……」
斎は無言で凪の腕を引き、無理矢理連れて行こうとする。
「っ…離せバカ!」
凪は離そうと腕に力を入れるが、ぐいぐいと引っ張られてしまう。
「ぅわ…!」
すると突然、反対の腕を引っ張られ、身体がよろける。
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