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ハッと我に返った凪は、祐也の膝から立ち上がる。
「あ、残念」と祐也が小さく笑った。
「お前ふざけんなっ!」
「ん?何もふざけてないけど」
祐也はまた、気にも留めない様子で、仁王立ちしている凪を見上げた。
「さ、最近、なんかおかしいぞ、お前」
「そう?別にいつも通りだけど」
「いーや、確実に違うね。明らかに違う」
「どのへんが?わかんないから具体的に教えて」
「っ、だから、なんていうか距離感が近いっていうか」
「そう?昔からこんな感じじゃない?変?」
「変。この前だってキスしたり、さっきも変な空気だったし……」
そう口に出して、ハッとした。これじゃあ、まるで、キスされるのを期待しているように聞こえるのではないか。そうでなくても意識していることを祐也に伝えているようなものだ。
「ふーん……」
祐也がにやりと笑う。
「俺のこと意識してくれてるんだ?」
「ち、違う!俺はただ、お前が最近変だから何かされるかもってだけで…」
「はは、嬉しいなぁ。しっかり意識してくれてるんだね」
祐也が心底嬉しそうに微笑むと、ぐい、と腕を引かれてしまう。
「わ…っ」
そのまま倒れるように、祐也の上に覆いかぶさった。向かい合うように抱き締められてしまった凪。
「祐也…、もういいってば…離せっ」
腕の中から逃げようと藻掻くが、祐也の逞しい腕が腰と背中に巻きついて、更に強く抱き寄せられてしまった。
少し見下ろした先に祐也の顔が間近にあった。口角を上げた、意地悪な表情の祐也が、凪を見据える。この状況に耐えられなくなり、ふい、と顔を背けた。
「んー?だーめ。…ほら、こっち向いて」
「嫌だ」
「どうして?」
「また何かするだろ」
「何かって、なに?」
「っ、だから…、キ、キスとか…っ」
「嫌い?」
「は?」
突然、嫌い?だなんて聞くものだから、咄嗟に祐也の顔を見てしまった。
「俺のこと、嫌い?」
切なそうに、祐也の顔が歪む。
「…嫌いじゃない…なんでそうなるんだよ…」
「じゃあ、好き?」
「好き…って、祐也はそんなんじゃ……」
「好きか嫌いかで答えて。凪が俺のこと嫌いだって言うんなら、もう凪とは会わない」
会わない、なんて。
ずしりと言葉の重みが伸し掛る。
いままでずっと一緒にいた祐也が、いなくなる。そんなこと一度も考えたことなかった。
「ずりぃよ、それ…」
「…どっち?好き…?それとも、嫌い……?」
「っ」
祐也に対する感情は家族に似たようなものであり、恋とか愛とか、そういうのじゃない。けれど祐也は大切な友達で、幼馴染で、兄弟のようで。不器用な俺のことを、昔から守ってくれて、いつも傍で気にかけてくれる。そんな祐也のことは…絶対に嫌いじゃない、むしろ、好きだけれど。
目の前の祐也は、なぜか、いまにも泣き出しそうだった。
「…好き……」
「…え……?」
驚いた表情の祐也。
「祐也のこと…好きだ…だけど、―――っんぅ!」
だけどそれは、そう言いかけたとき、頭を寄せられて、いつのまにか、キスをされていた。
「っ、ゅう……、やぁ…待っ…」
咥内を祐也の舌が、優しく掻き回す。舌と舌が絡み合い、厭らしい水音が、静かな部屋に響いた。
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