アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
8
-
向こうから歩いてくる歯科医。まるで獲物を捕えるように鋭い眸が、俺の目を捕えて離さない。心臓が五月蝿く高鳴った。
近くの椅子に腰を掛けると、突然、端正な顔が近づいた。目の前、五センチといったところだろうか。至近距離に戸惑う俺をよそに、じっと顔を見つめてきたのだ。
「え、な、なんですか…」
驚いて挙動不審な声になってしまった。
だが、この男の整った顔を近づけられたら、きっと誰もが挙動不審になることは間違いなかった。男なのに、どきどきと胸がざわつく。初めての感覚だった。
しばらくのあいだ、そうしていたが、とうとう恥ずかしさに我慢できず、目を瞑ろうとした、瞬間。男の声がそれを遮った。
「おい」
「…は?」
「おい、返事」
呆然としている俺を睨み上げる目前の男。
人の顔を穴が開く程見たかと思えば、初対面の人間に、おい、だなんて。
今までで生きてきたなかで、初めてこんなふざけた男に出会った。
頭にきた俺は一言言ってやろうと口を開けた瞬間、すかさず男の指が入り込む。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
8 / 125