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あの野郎、ふざけやがって…
苛立ちが沸々と募る。レントゲンを撮影されながら、あの男の顔を思い出す。綺麗な顔をしているのに、性格があんなに上から目線で俺様だと台無しだな。天は二物を与えずとはよく言ったものだ。
「はぁい、終了です〜。お席にお戻りくださいね〜」
そう言われた凪は、レントゲン室から出て、あの男を探す。
すぐにあの人間離れした顔を見つけた。文句を言いに行こうとした凪だったが、足を止める。勿論、他のお客の対応中だったこともあるが、それだけではなかった。自分には見せない、素敵な笑顔を振り撒いているのだ。素敵、とは言っても目の奥が笑っていなかったが、女性はまんまと騙されて、頬を染めているではないか。
何故、あの女の人に笑顔を見せて、俺には見せない?ただの女好きか?それとも、俺がガキだからって舐められてる?理由がどうであろうと、客を選り好みする医者なんて、ごめんだね。
「はは」
呆れて何も言う気にならない。
三番の椅子に座り、今すぐ帰りたいのを必死に堪えた。
やっぱり、歯医者は俺には向いていないのだろうか。
「別の歯医者探そ…」
ぼそりと呟いた。
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