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どうしてこんな事になったのだろうか。
クリスマスが目前に迫っているなか、俺は男と二人、宝石店に来ていた。
その男というのは、勿論この男。斎である。
何故、嫌いな男と並んで宝石店なんかに居るのかというと、ことは遡ること三日前。
毎度飽きもせず、斎と言い合いを続ける凪は、この男のことを更に嫌いになるのに時間は掛からなかった。
あの男は頭がおかしいようだ。
あのキス事件以来、キスをされることはなかったが、代わりに尻や胸を触るといったセクハラを受けていた。
斎という男は重度の変態らしい。顔が良いだけに、残念な男である。そんな斎から早く開放されたくて、三日置きに一条歯科医院に通っているのだが、未だに治療は終わっていない。
「おい、斎。まだ治療終わんねぇのかよ」
「まだだろ、多分」
「お前の病院だろうが!把握しろ!」
「お前の歯が汚すぎるのが悪い」
「もうそんな汚くねぇっての!歯だって毎日磨いてるぞ!」
「そんな当たり前のことを堂々と言われてもな」
「当たり前を続けるやつが偉いんだよ」
「おい、お前また黙らせるぞ」
「いいのか?」と意味深に笑う斎。
一瞬で黙りこくった凪を見て、斎は満足気に鼻で笑う。
ムカつくが、キスをされるよりはマシだった。
「そういえば、連絡先聞いてなかったな。教えろ」
「人にものを聞く態度じゃないので教えません」
「お前の言い分は聞いてねぇんだよ。教えないってんならこっちにも手はあるぞ」
「っ!やり口がヤクザなんだよ!てめぇは!」
「早く教えねぇと皆が見てる前でキスするぞ。ほら、……三、二、一…」
「あぁ、もう!わかったよ!ほら、勝手にしろよ」
「はい、どうも」
手早く凪からスマホを奪うと、あらゆる連絡先を斎のスマホに記録される。
仮にも仕事中だってのにスマホを堂々と触る男に、職務怠慢で訴えることができないものかと頭を駆け巡らせる。
斎に出会ってからというもの、振り回されてばかりだ。出会う前の穏やかな日常が恋しい。
はぁ、と溜息が零れる。
「あ、それと凪。日曜は空けとけよ」
「は?…なんで?」
嫌な予感しかしない。
「出掛けるぞ」
「絶対に嫌だね、死んでもお前なんかと出掛けるか」
「お前のこと今から犯してもいいんだぞ」
「なっ、ななななんて言った今こいつ!犯罪者がいる!強姦魔ー!」
「うるせぇな。黙らねぇと本気で犯す」
「う、嘘だね。だってここにはお客さんだって助手の女の人達だっているじゃん」
「ここ、カーテンついてるから。声出せねぇように口塞げばいいだけの話。じゃあ早速始めるか」
カーテンを閉じる斎に、慌てて観念して『お出掛け』を了承してしまったのが三日前のこと。
『十二時に迎えに行く』
昨夜、送られてきたメッセージだ。
どこに迎えに行くつもりなのか。斎に家を教えた覚えはない。
不思議に思ったが、行く気は更々なかったので、どうでもよかった。
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