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新たな男
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夏休みが始まった。
期末試験で奇跡的に赤点を免れた歩は補習授業ではなく委員の当番で学校に来ていた。
「おはようございます」
ガラガラと保健室の扉を開ける。保健委員の歩は休み中も保健室の掃除の当番があるのだ。
今日のメンバーは自分とともちん、他クラスの委員の計四人だ。
「あー、あゆおはよぉ!」
既にともちん達は掃除を始めている。
「ごめん!ぼく遅かった?」
肩に掛けていた部活用のバッグを降ろす。
「うちら補習終わりに来たら早く着いただけだから大丈夫だよぉ
ってか、あゆバッグでかくない?旅行でも行くの?」
「ん?部活のだよ?今日練習試合やるからこの後他校に行ってくるんだ」
「うわっっこの暑いのに可哀想!!」
ともちんとそんな雑談を交えながら掃除にとりかかる。
◇◆◇◆
掃除も一通り終わってともちんと他クラスの女子は二人で職員室にいる保険医に掃除の終了を伝えに行っている。
歩はもう一人の他クラスの女子と二人きりになってしまった。
特に話すこともないので沈黙する。
窓の外では熱い日差しが校庭を照りつけている。
今日も暑くなりそうだな、と外に意識を飛ばしていると…
「あの…」
おずおずと他クラスの女子が歩に話し掛けてきた。
「え?」
話しかけられて相手に体を向ける。
大きくも小さくもない目に女の子特有の柔らかそうな頬。
小さな唇にはうっすらグロスを塗っているが化粧はしていなそうだ。
全体的におとなしそうな印象。
「あの…あっくんがいつもお世話になってます」
(あっくん?)
思いあたる人物がいないため首を傾げる。
そんな仕草に相手も気づいた様子。
「あっ…平成学院の二宮篤志のことですっ」
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